1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640427
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
目片 守 福井大学, 工学部, 教授 (80025345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 丈夫 福井大学, 工学部, 助教授 (00206723)
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Keywords | フラストレーション / 基底状態 / 三角格子 / カゴメ格子 / 四面対格子 / 一重項状態 / 量子効果 |
Research Abstract |
競合が強い次の系について実験し、以下の成果を得た。 1.三角格子のモデル化合物CuFeO_2中でFe^<3+>イオンのモーメントがイジングスピンとして振る舞う機構を解明するために、CuFe_<0.95>Al_<0.005>O_2の単結晶を作製し、偏極中性子散乱、中性子スピンエコーを測定し、低温相はヘリカル構造、10K以上の中間温度相はSDW構造であることを明らかにした。 2.三角カゴメ化合物、Cu_9X_2(cpa)_6・nH_2O(X=F,Cl,Br)について、磁化率、強磁場磁化率、ESRの測定を行い、100K以下で2/3のモーメントが一重項状態になること、残りのモーメントは長距離秩序を示さず、5K以下で凍結することを見いだした。ESRも2種類の信号を与える。 3.磁気鎖が三角格子をつくるBaVS_3のμSRは30K以下で強い内部磁場の発生を示しており、その温度以下では軌道整列してモーメントをもたないというNMRと矛盾する結果を与えた。 Y(Sc)Mn_2中の2%のMnをAlで置換した系でμSRを測定し、初期非対称度が10%置換の試料と同様に40Kから減少するのに対し、緩和率は10Kでピークをもつことを見いだした。このことからAl原子付近とそれ以外の部分ではMnが全く異なる挙動を示すことが明らかになった。 角共有四面体格子上のイジングスピンについてモンテカルロシミュレーションを行い、三角格子やカゴメ格子と同様大きい残留エントロピーをもつにもかかわらず、プラケット内の4つのスピンが低温で一重項をつくるなど他の格子と異なる振る舞いをすることを見いだした。 購入した備品と消耗品を用いて2Kから300Kの範囲で交流磁化率を測定できる相互インダクタンスブリッジ型の測定装置を組み立てた。 これらの結果の多くは国内国外の学会で発表されるとともに、論文として投稿され、印刷中である。
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