1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640429
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴村 順三 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90108449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 英生 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40252225)
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Keywords | 2鎖模型 / モット絶縁体 / 電荷ギャップ / 閉じ込め / スピンギャップ / ベッチガード塩 / くり込み群 / 朝永-ラッティンジャー液体 |
Research Abstract |
有機導体の1次元揺らぎと次元性の性質を調べるため、ボソン化法を用いた以下の研究を行った。(1)2鎖朝永-ラッティンジャー模型における動的な電荷及びスピン応答関数を計算し、2鎖間で逆位相をもつスピン揺らぎが最も増大する事が分かった。この結果は、有機導体で発見されている鎖間電子対による異方的超伝導の引力の原因を示唆している。 (2)電子間相互作用が斥力の2鎖系ではスピン揺らぎの励起にギャップをもたないことが知られている。ここでは、擬1次元有機物質で指摘されている相互作用にスピンの異方性がある場合にどのようなスピン励起が生じるか調べた。この結果、スピンギャップが生じることがわかり、鎖間電荷移動の効果とスピンの異方性の効果の競合により、超伝導とスピン密度波の相図が得られた。(3)ベッチガード塩では、低温・正常相における交流電気伝導度の実験から電荷ギャップを持つことが知られている。そこで報告されたギャップが大きいと絶縁体となりギャップが小さいと金属になるという興味深い事実を、1次元的な揺らぎが重要であると考え、繰り込み理論を用いて調べた。その結果、電子の鎖間移動による得と電子相関により生成される電荷ギャップの得との競合がこの金属-絶縁体転移の原因であり、後者の得の場合電子が鎖内に閉じこめられることを明らかにした。(4)有機導体における1次元的な揺らぎの基礎研究として、朝永-ラッティンジャー液体におけるスピン密度波の動的応答関数を調べた。その強度の異常が従来予測されていた繰り込まれた電荷励起及びスピン励起スペクトラムの位置以外に自由電子のスペクトラムの位置にも出現することを発見した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Yoshioka: "Response Functions of Two-Coupled Chains of Tomonaga-Luttinger Liquids" Physica C. 309巻・1-2号. 151-160 (1998)
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[Publications] M.Tsuchiizu: "Two-Coupled Chains with Spin-Anisotropic Backward Scattering" Physica C. 303巻・3-4号. 246-256 (1998)
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[Publications] Y.Suzumura: "Confinement of interchaon hopping by Umklapp scattering in wo coupled chains" Phys.Rev.B. 57巻・24号. 15040-15043 (1998)
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[Publications] N.Nakamura: "Dynamical Response Function of 2RF SDW for the Tomonaga-Luttinger Model" J.Phys.Soc.Jpn.67巻・3号. 721-724 (1998)