1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640429
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴村 順三 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90108449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 英生 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40252225)
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Keywords | 電荷ギャップ / モット絶縁体 / ボソン化 / 低次元揺らぎ / 位相 / 繰り込み理論 / スピン密度波 / 整合エネルギー |
Research Abstract |
有機導体の斥力に起因する電子相関と揺らぎの果たす役割を理論的に解明するため、ボソン化法を用いた以下の研究を行った。(1)擬1次元有機導体ベッチガード塩では、低温の正常相で電荷ギャップが存在し、圧力変化に伴う絶縁体-金属相転移を生じることが知られている。このギャップと鎖間電荷移動の比が大きい場合は絶縁体となり、小さい場合は金属になるという実験事実を、1次元的な揺らぎが重要であると考え、繰り込み理論を用いて調べてきた。今回の定量的研究の結果、電子の鎖間移動による得と電子相関により生成される電荷ギャップの得との競合がこの振る舞いの原因であること及びその際の電子移動のエネルギーは電子間相互作用により繰り込まれることが本質的であることを明らかにした。(2)この塩の低温でのスピン密度波(SDW)状態では臨界温度の約1/3の温度で別のSDW状態が出現する。これを理論的に調べるため系をSDWの位相で記述し、転送積分法を用いてSDWの相関関数を計算し、低温でこのような新しい状態が出現するのは電子充填率が1/4の整合エネルギーと2量体化の存在のためであることを示した。さらに整合-不整合相転移を臨界温度の計算により示し、この原因として2量体化の存在化での整合エネルギーと電子数の1/4充填からの変化の競合を明らかにした。(3)充填率1/4の系の電荷ギャップを調べるため、2量体化及び交替ポテンシャルを考慮した1次元模型に繰り込み群を適用して計算し、両者の競合によるギャップの非単調な振る舞いを見つけた。さらに1/2の充填率でのモット絶縁体とバンド絶縁体の競合を1次元模型を用いて調べ斥力の変化に伴う両者の移り変わりを電荷ギャップの計算により示しその際のスピン揺らぎを調べた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Tsuchiizu: "Confinement-deconfinement transition in two coupled chains with cmklapp scattering"Phys.Rev.B. 59巻19号. 12326-12337 (1999)
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[Publications] T.Itakura: "Novel Phase Transition in Quarter-Filled SDW State with Dimerization"J.Phys.Soc.Jpn,. 68巻・3号. 712-715 (1999)
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[Publications] M.Tsuchiizu: "Renormalized interchain hopping vs. charge gap in two-coupled chains"Prog.Theor.Phys.. 101巻・3号. 763-768 (1999)
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[Publications] T.Itakura: "Commensurate-Incommensurate Transition in SDW States of Quasi-one-Dimensional Organic Conductors"J.Phys.Soc.Jpn.. 68巻・7号. 2395-2404 (1999)
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[Publications] M.Tsuchiizu: "Theoretical Study on the charge Gap of Organic Conductor-Bechgaard Salts-"J.Phys.Soc.Jpn.. 68巻・6号. 1809-1812 (1999)
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[Publications] M.Tsuchiizu: "Electronic States in Half-Filled Correlated System with Alternating Potential"J.Phys.Soc.Jpn.. 68巻・12号. 3966-3974 (1999)