1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640433
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 直 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40029559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 宏 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (10029473)
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Keywords | 固体酸素 / フルポテンシャルLMTO法 / 電子帯構造 / 反強磁性状態 / 圧力誘起非金属-金属転移 / 多軌道ハバードモデル / 厳密対角化法 / 一酸化窒素分子 |
Research Abstract |
今年度は、固体酸素における有効交換相互作用の圧力依存性、一次元酸素分子集合体の磁性、一酸化窒素分子ダイマーの有効交換相互作用に関する研究を行い以下の成果が得られた。固体酸素における有効交換相互作用の圧力依存性δ相の結晶構造を仮定し、格子定数の比は測定値に固定して、体積を変化させなから反強磁性状態と強磁性状態の全エネルギーを計算した。そのエネルギー差から反強磁性交換相互作用大きさを評価した結果、その値は金属化が起こるまでは、距離の関数として指数関数的に増加する結果が得られた。一次元酸素分子集合体の磁性制限された空間に閉じ込められた酸素分子の磁性に関する知見を得る目的で、酸素を念頭においた2軌道1次元ハバードハミルトニアンを厳密対角化法に基づいて解析した結果、軌道エネルギー差がある程度大きくなるとSエ1/2ダイマー鎖として振る舞うこともあることが明らかになった。この結果は、Cu-trans-1,4-cyclohexanedicarboxylic試1dに物理吸着された酸素の特異な磁気的性質を説明し得る可能性を示唆している。一酸化窒素分子ダイマーの有効交換相互作用一酸化窒素分子NOと酸素分子の大きな違いの一つは、酸素のスピンがS=1なのに対し、NOのそれはS=172ということである。さらに興味深いことは、酸素は縮退した軌道(π゚反結合軌道)に電子が2個収容されたIlalr-fil11ng系と見なせ、NOはπ6反結合軌道に電子が1個収容されたquater-fi111ng系と見なせることである。この観点から考えると、酸素分子間の相互作用としては反強磁性的なものしか考えられないが、NO分子間の相互作用としては強磁性も十分考えられる。従って、固体一酸化窒素が合成されたならばどのような磁性を示すか、さらにそれに圧力を加えたならばどのように変化するかは、大変興味深い。NOダイマー間の交換相互作用を第一原理的に計算した結果、ある種の線形型構造を除くほとんど全ての構造で強磁性的相互作用が得らた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] M. Otani: "Theoretical Study on Magnetic Properties of Low-Dimensional Oxygen Molecular Assemblies" Physica B. in press. (1999)
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[Publications] M. Otani: "Pressure-Induced Insulator-Metal Transition of Solid Oxygen - Band Structure Calculations" J. Phys.: Condens. Matter. 10. 11603-11606 (1998)
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[Publications] H. Miyagi: "First-Principles Study on Solid lodine and Bromine under High Pressure" J. Phys.: Condes. Matter. 10. 11203-11213 (1998)
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[Publications] K. Yamaguchi: "Structural properties of molecular solid iodine under pressure: First-principles study of Raman-active Ag modes and hyperfine parameters" Phys. Rev. B. 57. 11141-11148 (1998)
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[Publications] N. Sizuki: "Electronic Structure, Electron-Lattice Interaction, and Lattice Dynamics in FCC Solid Bromine" Rev. High Press. Sci. Tech.7. 730-732 (1998)
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[Publications] M. Otani: "First-Principles Calculations of Electronic Band Structures of High Pressure Phases of Solid Oxygen" Rev. High Press. Sci. Tech.7. 178-180 (1998)
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[Publications] K. Yamaguchi: "First-Principles Calculations of Solid Iodine under High Pressure" Rev. High Press. Sci. Tech.7. 157-159 (1998)