1997 Fiscal Year Annual Research Report
銅硫化物スピネルCuV_2S_4における電荷密度波の核磁気共鳴よる研究
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09640439
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岸本 豊 徳島大学, 工学部, 講師 (80201458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 隆 徳島大学, 工学部, 助教授 (70035640)
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Keywords | 銅硫化物 / スピネル / CuV_2S_4 / 核磁気共鳴(NMR) / ナイトシフト / 緩和率 / 電荷密度波(CDW) |
Research Abstract |
高温超伝導発現機構の解明には、モット転移近傍の研究、関連する銅化合物の系統的研究、低次元物性の研究が重要であるが、銅硫化物スピネル系は多彩な物性を示す。我々はCu_<1.5>Rh_<1.5>S_4の超伝導特性をNMRと帯磁率測定で調べ、BCS超伝導であることを明らかにした。CuIr_2S_4は約220Kで金属・絶縁体転移する。一方CuV_2S_4は3次元物質と考えられるのに電荷密度波(CDW)転移する。CDWは重要な低次元物性であり、CuV_2S_4のCDWの特性をNMRにより詳しく研究することは極めて重要である。 私達は^<63>Cu,^<65>Cu及び^<51>VのNMRスペクトル、核緩和率の温度変化の測定を行なった。^<63>Cuと^<65>Cuの信号はCDW転移により、消失することが分かった。スペクトルのピークから^<63>Cu及び^<51>Vのナイトシフト^<63>Kと^<51>Kの温度変化を得たが、^<51>Kは高温では内殻分極を反映して、負値であるが、CDW転移により正値に突然変化する。これはCDWによりスピン対が出来て磁性が減少したことを示す。^<63>Kは温度低下により減少する。静帯磁率も減少するので、超微細結合定数は正になる。これは高温超伝導体の場合と似ているが、CuV_2S_4でも超交換相互作用が働いているのかも知れない。^<51>Vの核緩和率は高温及び低温でコリンハ則に従うが、90K直下では指数関数的に変化し、アレニウスプロットから0.052eVのCDWにより生じたギャップを評価した。ギャップは異方的と考えられる。^<63>Cu及び^<65>Cuの核緩和率の温度変化は高温でコリンハ則に従い、単純な金属の性質を示すが、CDW転移により四重極緩和機構が効いてくることを明らかにした。横核緩和率の温度変化の測定結果は近く論文にしたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Ohno, Y.Kishimoto and K.Miyatani: "Changes in ^<63>Cu and ^<65>Cu NMR Relaxation Retes Due to CDW Transition in CuV_2S_4" Physica B. 230-232. 988-991 (1997)
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[Publications] T.Ohno, K.Koyama and H.Yasuoka: "Cu NQR and Hole Transfer in Y_<1-x>Pr_xBa_2Cu_3O_<7->δ" Physica B. 237-238. 100-102 (1997)
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[Publications] Y.Kishimoto, T.Ohno et al.: "^<51>V Knight Shift of a C15 Laves Phase Superconductor HfV_2" Physica B. 237-238. 312-314 (1997)
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[Publications] H.Nishihara, T.Ohno H.Yoshida and Y.Kishimoto: "Powder Spectra of B NMR in the Magnetically Ordered State of CeRh_3B_2" Physica B. 237-238. 218-220 (1997)
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[Publications] T.Ohno, T.Kanashiro Y.Yamada, Y.Kishimoto: "^<59>Co Spin-Lattice Relaxation in Superconducting CoSi_2" Physica B. 237-238. 307-309 (1997)
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[Publications] Y.Kishimoto, T.Ohno et al.: "^<51>V Knight Shifts in the Superconducting State of V_3Si" Physica B. (in press). (1997)