1997 Fiscal Year Annual Research Report
希釈磁性化合物のグリフィス相における異常緩和現象の研究
Project/Area Number |
09640440
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
出口 博之 九州工業大学, 工学部, 助教授 (30192206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 精志 九州工業大学, 工学部, 教授 (90112359)
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Keywords | 希釈磁性体 / グリフィス相 / 異常緩和 |
Research Abstract |
Ni(OH)_2はNi^<2+>イオンがc面内に三角格子を形成し,面内に強磁性,面間に弱い反強磁性相互作用を有する擬二次元磁性体である.Ni^<2+>イオンを非磁性イオンMg^<2+>で置換した希釈系Ni_xMg_<1-x>(OH)_2の磁性はかなり以前から調べられている.我々は,Ni濃度xが0.1の低濃度領域まで反強磁性的な磁気秩序が存在することに注目し,この希釈磁性体における磁化の履歴や緩和現象を実験的に調べ,グリフィス相の可能性を探った.グリフィス相は1969年に理論的に提案されたランダムな希釈磁性体における異常な常磁性相であり,近年スピングラスの常磁性相に類似の相が存在すると指摘され,この相の性質が注目されている. いくつかのNi濃度の試料についてSQUID磁束計により系統的な磁化測定および交流磁化率測定を行い,次のような結果を得た. (1)広範囲のNi^<2+>濃度の試料において零磁場冷却と磁場中冷却の磁化にNeel温度T_N(X)より高温側T_G(X)から不一致が現れる. (2)熱残留磁化が時間のべキ乗で減少する長時間緩和がT_G(X)以下で見られる. (3)交流磁化率の周波数依存性を調べたところ,in-phase成分x'T_G(x)以下で大きな周波数依存を示すが,out-of-phase成分X"は周波数依存がほとんどない. これらの実験からT_N(X)以上の常磁性相のスピングラス相とは異なる異常緩和現象が見られた.常磁性相(T>T_G)と反強磁性相(T<T_N)との間に異常な緩和減少を示すグリフィス相の存在が考えられる.
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Research Products
(1 results)