1998 Fiscal Year Annual Research Report
希釈磁性化合物のグリフィス相における異常緩和現象の研究
Project/Area Number |
09640440
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Research Institution | KYUSHU INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
出口 博之 九州工業大学, 工学部, 助教授 (30192206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 精志 九州工業大学, 工学部, 教授 (90112359)
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Keywords | 希釈磁性体 / グリフィス相 / 異常緩和 / スローダイナミクス |
Research Abstract |
Ni_xMg_<1-x>(OH)_2の代表的なNi濃度x=0.5の試料について,スピングラスなどでみられる磁気緩和現象を調べるために交流磁化率の周波数依存を調べCole-Coleプロット解析を行った.外部磁場ゼロのもとで交流磁場振幅2 Oe,交流磁場周波数を0.01Hzから1kHzまで変えて測定結果を得た.周波数依存で特徴的なことは,T_<AF>を境にχ"の周波数依存が逆転していることが明らかになった.つまり低温では低周波の方がχ"成分が大きいが,高温側では高周波の方が大きくなっている.これによりT_<AF>を境に磁気相が変化していることが伺える.転移点近傍でのχ'(ω),χ"(ω)の周波数依存性からCole-Coleプロット解析により緩和時定数α,緩和時間の平均値τ_cの温度依存性および各温度における緩和時定数の分布関数g(τ)の様子が得られた.これらのパラメタや分布関数の温度依存性をイジング型スピングラスの実験と比較すると転移点以上での振る舞いは定性的によい一致を示しているといえる.すなわちスピングラスの転移点より高温域の緩和現象と我々の希釈磁性体における反強磁性転移点より高温のそれとは同様の異常な緩和現象(スローダイナミクス)を示していると考えられる.この共通性とRanderiaらの理論すなわちスピングラスのグラス転移点より高温域での異常緩和はグリフィス相の存在を示すという論拠から希釈磁性体Ni_xMg_<1-x>(OH)_2の中間相がグリフィス相であるということがCole-Coleプロット解析から推論された.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Deguchi et. al.: "The Griffiths phase in a diluted quasi-two-dimensinal magnet Ni_xMg_<1-x>(OH)_2" Journal of Magnetism and Magnetic Matterials. 177-181巻. 87-88 (1998)
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[Publications] K.Zenmyo et. al.: "Proton NMR Study of Randomly Diluted Magnet Ni_xMg_<1-x>(OH)_2" Physica B-Condensed Matter. 250巻(発表予定). (1999)