1997 Fiscal Year Annual Research Report
超低温における基底-重項の伝導電子と核スピンの物性
Project/Area Number |
09640444
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石井 廣湖 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80047167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小栗 章 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (10204166)
畑 徹 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (10156333)
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Keywords | 一重項基底状態 / ヴァンヴレック常磁性 / 結晶場 / 異方的超伝導 / s-f交換相互作用 / 核磁性 / RKKY相互作用 / 核スピン緩和 |
Research Abstract |
本研究課題は、プラセオジムなどNon-Kramersイオンに対して実現する結晶場基底-重項系に於ける、基底-重項状態の励起を介した伝導電子間有効相互作用の効果と核磁性に関するもので、本年度は次の研究を行った。 (1)1重項基底状態の励起を介した伝導電子間相互作用による超伝導 この機構に対して、我々はこれまでEliashberg方程式を導出しそれを線形化し転移温度を求めてきた。現実の物質では電子間にクーロン斥力が働き、これが1重項基底状態の励起を介した引力機構に重ね合わさる。長距離クーロン斥力の場合に、超伝導転移温度に及ぼす影響を調べた。クーロン項はバブル型のダイヤグラムに限定するとScreened Coulomb型になるが、超伝導転移温度Tcをわずかに下げるだけでその効果は小さいことがわかった。 (2)s-f交換相互作用の再構築と増強核磁性 これまで展開してきた理論では、基底1重項系と伝導電子との相互作用はs波型s-f交換相互作用を前提にしてきたが、f軌道の縮退を考えると修正が必要である。我々は、Hund結合とスピン軌道相互作用のもとでの(4f)^2状態に対する基底J多重項状態を、Clebsch-Gordan係数を用いて1粒子状態の積の形で表した。そしてAndersonハミルトニアンからJ多重項状態に対するs-f交換相互作用を導出した。この相互作用ではスピンと軌道を合わせて角角運動量が保存する。これから導出したRKKY相互作用はテンソル型になり核スピンは保存しない。これにもとづき核スピン系の磁性を平均場近似で調べた。秩序相での核スピンの向きが、Van Vleck帯磁率の最大の方向と必ずしも一致しないことなど、従来の核磁性理論の結果を改める新しい結果を得た。PrCu6系核磁性の測定結果との関係を考察している。 (3)超低温での核スピン緩和 電気4重極場を受けたSc核の超低温での多指数関数型緩和の理論研究を行った。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] H.Ohgaki 他: "Effect of Coulomb interaction on superconductivity for Van Vleck metals" Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 177-181(印刷中). (1998)
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[Publications] T.Nagasima 他: "s-f exchange interaction and RKKY interaction in Pr intermetallic compounds" Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 177-181(印刷中). (1998)
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[Publications] T.Nagasima 他: "s-f exchange interaction and RKKY interaction for Hyperfine-Enhanced Nuclear Magtes of Pr" Journal of Physical Society of Japan. 67・4(発刊予定). (1998)
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[Publications] T.Kawae 他: "A-B Transition of Superfluid 3He with a Film Geometry" Journal of Low Temperature Physics. 6月(発刊予定). (1998)
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[Publications] A.Oguri: "Fermi-liquid theory for a conductance through an interacting region attached to noninteracting leads" Journal of Physical Society of Japan. 66・5. 1427-1437 (1997)
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[Publications] A.Oguri: "Quantum Monte Carlo study of the transport through a small interacting system" Physical Review B. 56・20. 13422-13427 (1997)
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[Publications] S.Nonoyama: "Direct Calculation of the Nonequilibrium Current by a Recursive Method:" Physical Review B. 57・16(印刷中). (1998)