1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640447
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
平井 國友 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (60156627)
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Keywords | スピン密度波 / クロム / 磁気励起 / 光励起 / 人工格子 |
Research Abstract |
本研究はクロム(Cr)のスピン密度波(SDW)状態の磁気励起および光励起を現実的な電子構造に基づいて議論し,SDWに対する理解を深めることを目的として着手された.中性子散乱の測定において示唆されている通常のスピン波以外の磁気励起,光の反射率から観測されるエネルギーギャップ,あるいは,光吸収スペクトルの磁気二色性についての定量的な議論を通じて,SDW状態の電子構造の特性を明らかにするのが当初の目的であった.ところが,近年のCr系人工格子の作成技術の著しい発展とそれらの実験の活性化により,これら人工格子でのSDWの研究を中心にさざるを得ない状況となり,当初目的の達成には至らなかった.しかしながら,Cr系人工格子のSDWの第一原理計算による研究についてはかなりの成果を挙げたといえる.特に,鉄/クロム(Fe/Cr)人工格子における層間磁気結合の振動とSDWとの関係を説明できたことは特筆すべきことである.Fe/Cr人工格子では,強磁性Fe層間の磁気結合がCr層の厚さによって振動するが,この振動はある厚さで位相のずれを生じる。この位相のずれがCr層でのSDW秩序の出現に対応すること,また,人工格子でのSDWが純粋CrのSDWとは異なった性質を有することを理論的に示すことができた.この結果はSDW状態の電子構造の理解という観点だけでなく,人工格子の電子構造の理解という観点からも意義深いものであり,今後の研究,たとえば,常磁性金属/Cr人工格子のSDWの研究を通じて,その解析がさらに発展するものと期待される.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Hirai: "Spin-Density Wave in Fe/Cr Superlottices: A First-Principles study"Phys.Rev.B. 59・10. R6612-R6615 (1999)
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[Publications] K.Hirai: "First-Principles Calculation for Spin-Density Wave in Fe/Cr Multilogers"J.Magn.& Magn.Mat.. 198-199. 525-527 (1999)
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[Publications] K.Hirai: "Large-Scole KKR Calculation for Metallic Superlottices"Prog.Theor.Phys.Supplement. (発表予定). (2000)