1998 Fiscal Year Final Research Report Summary
GW近似による第1原理電子構造計算法の開発と遷移金属化合物への応用
Project/Area Number |
09640456
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
物性一般(含基礎論)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 毅夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90011113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 健夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教務職員 (80272384)
山元 進 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30262041)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Keywords | GW近似 / 強相関電子系 / 密度汎関数理論を超えた近似 / 遷移金属化合物 / LDA+U / 多チャンネルLMTO法 |
Research Abstract |
近年,銅酸化物高温超伝導体やマンガン化合物などの種々の遷移金属化合物が,礎学科学的立場および応用の両面から広く注目されている.電子間の相互作用が強い物質について今まで知られていない新しい物質・材料の物理的性質や機能を知り,あるいはそれらを制御しようというとき,第一原理電子構造計算が大変に重要かつ有効な役割をはたす.通常の物質の電子構造理論に対しては密度汎関数理論,特にその局所密度近似が大きな役割を果たす.しかし,電子相関の強い物質に対する研究が進み,実験と理論との詳しい対比が進むにしたがい,密度汎関数理論の不充分さが認識されるようになってきた. このような背景の元に,密度汎関数理論の枠を超える新しい方法論が研究・提案されるようになった.それらは例えば,自己相互作用補正,LDA+U,GW近似,量子モンテカルロ法,あるいは動的平均場近似といったものである.我々の研究グループでは新しい第一原理電子状態計算法の開発を行なうとともにそれ等を用いて強い相関を持った系を対象に様々な新物質の物性を研究した. GW近似はDFTのような基底状態の変分原理に基づいているのではなく,多電子の動的遮閉効果を最低次の範囲で取り込む方法である.したがってバンドギャップが正しく得られるであろうと考えられるだけでなく,一般的に励起状態も取り扱うことができる. 本研究課題では,特に強相関電子系に対するGW近似と中心として,それに関する第一原理電子構造計算技術を中心として研究を進めた.具体的な我々の研究プロジェクトは以下のとおりである. 強い電子相関に関する方法論および物性の研究. (1)多チャンネルLMTO法(multiple-LMTOmethods)の開発 (2)LDA+U法の研究と強相関電子系への適用. (3)GW近似の定式化と計算プログラムのコード化.
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Research Products
(10 results)
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[Publications] S、Kobayashi and T、Fujiwara: "Multiple LMTO Method and Down-Folding"PHYSICAL REVIEW B. vol.55 no.12. 7445-7453 (1997)
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[Publications] T、Fujiwara and M、Korotin: "Spin and Orbital Ordering of Nd_1-xSrxMnO3 from LDA-U calculations"PHYSICAL REVIEW B. vol.59 no.15. 9903-9910 (1999)
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[Publications] M、Korotin、T、Fujiwara and V、Anisimov: "La7/8Sr1/8MnO3 : long period order with hole stripes"PHYSICAL REVIEW LETTERS. (印刷中).
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[Publications] S、Kobayashi、A、Yamasaki and T、Fujiwara: "GW-approximation for strongly correlated electron systems"PHYSICAL REVIEW B. (印刷中).
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[Publications] S、Yamamoto: "Effective implementations of multi-dimensional radix-2FFT"Computer Physics Communications. vol、125. 1-7 (2000)
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[Publications] T、Fujiwara and T、Hoshi: "Optimized Ultrasoft Pseudopotentials"Journal of the physical Society of Japan. vol、66 no、6. 1723-1729 (1997)
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[Publications] T、Hoshi and T、Fujiwara: "Fully-Selfconsistent electronic-structure calculation using non-orthogonal localized orbitals within finite-difference real-space scheme and ultra-soft pseudopotential"Journal of the physical Society of Japan. vol.66 no.12. 3710-3713 (1997)
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[Publications] Y、Miyata、T、Fujiwara、S、Yamamoto、T、Hoshi: "Dynamical electron-ion coupling in the ionic conductor α-NaSn"PHYSICAL REVIEW B. vol.60. R2135-R2138 (1999)
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[Publications] 藤原 毅夫: "固体電子構造-物質設計の基礎-"朝倉書店. 214 (1999)
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[Publications] 藤原 毅夫(共著): "新しい配位子場の科学:物理学・化学・生物学の多電子論"講談社サイエンティフィク. 276 (1998)