1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640459
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西森 秀稔 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70172715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 純一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手
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Keywords | 最適化問題 / 量子効果 |
Research Abstract |
組み合わせ最適化問題に対する近似解法として、シミュレーテッドアニーリングが知られている。適切な温度制御により徐々に最適な状態を絞り込んで探索する手法であり、実用的な局面において大きな成果を上げている。本研究では、状態間の探索のメカニズムとして、温度の代わりに量子ゆらぎを用いてより高速な最適解の探索の可能性を確立し、巡回セールスマン問題に応用した。横磁場のはいったイジング模型の基底状態における系の様々な性質は、横磁場のない有限温度の性質に類似する側面を持っている。そこで、平衡系の性質のみならずシミュレーテッドアニーリングのような動的な問題に対しても、横磁場が温度と同等以上の役割を果たすと期待することは自然である。実際、横磁場を時間の関数として変化させたイジング模型の基底状態を時間依存シュレディンガー方程式の直接的な数値解や量子モンテカルロ法で計算したところ、相互作用の形態によらずどの場合でも横磁場を利用した量子アニーリングの方が正しい基底状態により確実に到達することが明らかになった。この成果を、組み合わせ最適化問題の典型例である巡回セールスマン問題に適用した。様々な都市の配置につき数値計算を行ったところ、いずれの場合にも量子アニーリングの方がより確実に最短経路の探索に成功することが分かった。
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[Publications] Hidetoshi Nishimori: "Conuergence of simulated annealing using the generalized transition probability" J.Phys.A. 31・25. 5661-5672 (1998)
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[Publications] Jun-ichi Inoue: "Generalization ability of a perception with nonmonotonic transfer funch" Phys.Dev.E. 58・1. 849-860 (1998)
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[Publications] Tadashi Kadowaki: "Quantum annealing in the transverse Ising model" Phys.Rev.E. 58・5. 5355-5363 (1998)