1998 Fiscal Year Annual Research Report
新しい数値繰り込み群の発展と低次元相転移現象への応用
Project/Area Number |
09640462
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿久津 泰弘 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10191850)
|
Keywords | 計算物理 / 繰り込み群 / 密度行列 / 量子スピン / 磁化過程 / 転送行列 / 臨界現象 / 強相関系 |
Research Abstract |
本年度は前年度に引き続き数値繰り込み群法(積波動関数繰り込み群PWFRG,および角転送行列繰り込み群CTMRG)の整備をすすめるとともに,多様な系への適用を行った. 2 次元古典統計系に関しては,PWFRG/DMRGによる無限系の自由エネルギー・エントロピーの計算法を確立し,無限の基底状態縮退をもつ四面体格子上の反強磁性体系のゼロ点エントロピーの計算を行った.前年度の研究で確立した非対称転送行列の取り扱い法(繰り込まれた恒等演算子を用いる方法)の応用として,結晶表面の異方的ステップ張力をもとめファセット形の高信頼計算を行った.その結果,以前,可解表面模型で成立することを見出した,表面ステップのゆらぎに関する「繰り込まれた自由ランダムウオーク描像」が,可解でない場合でもよく成立していることを確認した.CTMRGに関しては,線状欠陥のあるイジング型模型の臨界現象に応用し,臨界指数が欠陥強度に連続的に依存するという性質が,4体相互作用のある場合でも成立すること,および,欠陥磁化等の臨界指数の間のスケーリング関係式を確認した. 1 次元量子スピン系に関しては,磁化過程の精密計算を行い,磁化の立下り(飽和磁化)および立ち上がり(下部臨界磁場)近傍でのデルタ関数ボーズ気体描像の妥当性の定量的評価,特に,有効結合定数の計算を行った.また,S=1/2梯子系やS=1双1次一2次鎖ではカスプ型の磁化曲線異常を示す場合があることを発見し,これらが,素励起の分散関係と(漸近的)自由フェルミオン描像で説明できることを示した.2次元量子スピン系に関しては,積テンソル型波動関数を試行関数とする変分法をPWFRGを用いて実行し,双2次項のある反強磁性体において,ネール状態と無秩序状態の間の相転移が1次であることを示した. 以上の成果はその多くが論文として,現在投稿中もしくは投稿準備中である.
|
Research Products
(1 results)