1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640465
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
石井 晃 鳥取大学, 工学部, 助教授 (70183001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
逢坂 豪 鳥取大学, 工学部, 教授 (80032316)
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Keywords | 第一原理分子動力学 / Car-Parrinello / 有限要素法 / 四面体要素 / 実空間 / 電子状態 |
Research Abstract |
第一原理計算の主要部分は物質の性質の大半を担っている電子の状態を計算機を用いて量子力学でシュレーディンガー方程式を解くことである。1個の原子当たりで数個から数十個の電子が含まれているのが通常で、1cmで原子が約1億個並ぶ事から容易に想像されるように、実際に手に取れる大きさの物質の性質を直接計算機でシミュレーションするには莫大な計算機資源が必要となる。 本研究は、以上のような背景の元に、Car-Parrinelloと総称される、いわゆる第一原理計算の枠組みを局在基底を併用して拡張、改良し、併せてできあがったプログラムを一般にも公開して広く利用に供することにある。すなわち、単純なFourier基底関数による展開を越えた計算方法を提案するという方向に力点を置いたプログラム開発を行った。本研究の重点は原子の動力学で原子に働く力の計算に用いる電子状態計算を実空間有限要素法という完全に局所的な基底(有限要素法の用語では有限要素での基底関数)で解くことにある。 非周期系への応用という目標を重要視する観点から、実空間基底を採用して電子状態計算を行い、かつバンド計算へ直すために平面波基底へも変換する"混合基底"方式での計算プログラム開発を行った。まず1次元、2次元での有限要素法でシュレーディンガー方程式を解くことで、計算精度と有限要素の次数の関係など、興味深い結果が得られた。その1次元、2次元系でも経験を基に3次元でHartreeポテンシャルの計算と水素原子の電子状態を例にKohn-Sham方程式を四面体要素有限要素法で解き、細心の注意を払って四面体で空間分割することで必要な精度を得られることがわかった。BHS型擬ポテンシャルであれば、直ちに電子状態計算が出来る。また、その過程で3次元空間を四面体で分割する方法についての多くの経験を得た。 本研究によって有限要素法を用いた第一原理電子状態計算のプログラムが完成し、残された問題は計算精度と計算に要するメモリー・計算時間を有効に節約するための最適な3次元空間分割に絞られたといえる。
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