1997 Fiscal Year Annual Research Report
モンテカルロ法による複雑な構造をもつランダムスピン系の研究
Project/Area Number |
09640469
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡部 豊 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (60125515)
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Keywords | モンテカルロ法 / 有限サイズスケーリング / イジングモデル / ポッツモデル / 相分離 / ずり流動場 |
Research Abstract |
種々のランダム性が相転移や臨界現象に及ぼす効果は興味ある研究対象であり、本研究の目的は、大規模なモンテカルロシミュレーションにより、ランダムスピン系に関する精度の高い情報を得ると同時に、純理論的解析をおし進めることにある。特に複雑な内部構造を持つ系の相転移や、複雑液体を含む多彩な相の相分離過程に興味を持って研究を行った。本年度に行った研究の中から3つの成果に絞って報告する。 第1に、ユニバーサル有限サイズスケーリングという問題を取り扱い、その存在を2次元イジングモデルの場合に示すと共に、境界条件依存性を詳細に考察した。とりわけ、格子の縦横比が異なり、曲がった境界条件を課した系の有限サイズスケーリング関数について論じた。さらに3次元系へ拡張を行った。 第2に、3成分保存系の秩序形成過程の研究に、交換モンテカルロ法を適用することを試み、深く急冷した場合にも速いドメイン成長を得て、ドメインの特徴的な長さの成長則が1/3乗則に従うことを見出した。このダイナミクスのふるまいはくりこみ群的な考えで説明できる。 第3に、ずり流動場中の相分離の動力学のシミュレーション手法として、スピンモデルに基づく新しい手法を開発した。Kawasakiダイナミクスに従って時間発展するイジングモデルに隣接層の時間的なずりを導入するモデルである。また、ずりによる構造因子の時間的変化を解析する新しい方法を開発し、その有効性を確かめた。
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