1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640471
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
松下 貢 中央大学, 理工学部, 教授 (20091746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 東平 新潟大学, 医学部, 助教授 (00047200)
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Keywords | 細菌 / 集落(コロニー) / パターン形成 / 自己アフィン性 |
Research Abstract |
私たちはこれまでの研究で、大腸菌や枯草菌などごく普通の細菌を寒天平板上で培養したときに、栄養濃度と寒天濃度(培地の固さ)という細菌の成長条件を決める二つのパラメータを変えるだけで、成長する集落のパターンが多様に変化することを見出した。特に、枯草菌について集落パターンの相図を定量的に確立することができた。即ち、自己相似フラクタルなDLA的パターンや、全体としてはコンパクトだが成長界面だけに注目すると自己アフィン・フラクタルなEden的パターン、同心リング状パターン、枝分かれが密着したDBM的パターン、一様等方なディスク状パターンといった、5種類の典型的なパターンを呈する領域があることを明らかにしてきた。また、成長途上の集落の顕微鏡観察によって、寒天培地がある程度以上柔らかくなると個々の細菌細胞が寒天培地上を能動的に動き回ることを見出した。このように、集落形成の最も重要な因子は、細菌細胞の分裂増殖と能動的運動であり、それが栄養濃度と寒天培地の固さで制御されて様々なパターンの集落が形成されるということができる。これまでの研究で、上述の5種類の集落パターンのうち、自己相似フラクタルパターンはDLA(拡散に支配された凝集)モデルで、一様等方なディスク状パターンはフィッシャー方程式で記述できることを明らかにしてきた。今回の研究ではコンパクトなEden的集落パターンに注目し、その成長界面は確かに自己アフィン・フラクタルであること、しかし界面の粗さの指標である自己アフィン指数αはEdenモデルが与える0.5ではなく、0.75に近いことがわかった。これは集落の界面近くを構成する細菌が協同的に行動するためである。また、DBM的な集落パターンの枝の太さ、枝間の間隔、枝の長さ分析などの栄養濃度依存性を詳しく調べ、枝の太さと枝間の間隔のそれぞれは栄養濃度に大きく依存するがそれらの比は栄養に無関係に1に近いことなど、興味深い結果を得た。これらの結果はまだわかっていないDBMパターンを生み出すモデルの確立に重要なデータを提供するものと思われる。 さらに、最近、同心円状集落パターンを作ることで有名なプロテウス菌でも集落パターンの相図を確立した。これについても同心円状集落形成の機構を解明すべく、実験を行っている。また、ある条件下では集落内で時空カオス的なパターンが現れることも発見したが、これについてもその発現機構を調べている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] J.Wakita: "Self-Affinity for the Growing Interface of Bacterial Colonies" J.Phys.Soc.Jpn.66. 67-72 (1997)
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[Publications] O.Moriyama: "Fractal Structure and Statistics of Growing Patterns with Competition" Fractals. 5. 247-265 (1997)
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[Publications] K.Kawasaki: "Modeling Spatio-Temporal Patterns Generated by Bacillus subtilis" J.theor.Biol. 188. 177-185 (1997)