1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640472
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
相澤 洋二 早稲田大学, 理工学部, 教授 (70088855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮坂 朋宏 関東学院大学, 工学部, 講師 (90257246)
原山 卓久 ATR環境適応通信研究所, 第四研究室, 研究員 (70247229)
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Keywords | ハミルトン力学系 / カオス / クラスター / KAMトーラス / ノン・ツイスト系 / 量子カオス |
Research Abstract |
本研究では、ハミルトン力学系の相空間の微細構造を決定し、クラスター化や緩和現象などをその力学構造から理解すること、また相空間の微細構造が対応する量子系の性質にどのように反映するのか解明することを目指して研究を進めている。本年度得られた主要な成果を以下にまとめる。 1. 引力相互作用する多数の粒子から成る大自由度ハミルトン系において、クラスターの性質をリーマン幾何学を用いて研究した。その結果、クラスター周辺部に生じる強い不安定領域がクラスターの変動と密接な関わりをもつこと、粒子のクラスター内滞在時間分布が負のブローデイ分布に従うことなどを明らかにした。 2. 自由度3のハミルトン系におけるKAMトーラス崩壊のメカニズムを詳しく調べた。とくに、KAMトーラスを近似する周期軌道列の漸近的性質を調べることにより、KAMトーラスの回転数ベクトルと摂動に対する安定性との関係を明らかにした。 3. ツイスト条件の破れがKAMトーラスの崩壊過程に及ぼす影響を研究した。ツイスト条件の破れによって生じる相空間構造を系統的に調べる方法を考案し、ノン・ツイスト系のカオスへの遷移機構の特徴を明らかにした。 4. 量子卵型ビリヤード系において、ビリヤードの形を変えていったときに、エネルギー準位間隔分布がどのように変化するのか詳細に調べた。Berry-Robnik公式を用いた解析を行い、対応する古典系における分岐現象が準位間隔分布に反映していることを示した。さらに、古典系相空間にカオス領域が複数ある場合にもBerry-Robnik公式が機能することを示した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.Tasaki, T.Harayama and A.Shudo: "Interior Dirichlet Eigenvalue Problem, Exterior Neumann Scattering Problem, and Boundary Element Method for Quantum Billiards" Physical Review E. vol.56. R13-R16 (1997)
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[Publications] 原山卓久: "量子カオスと光学現象" 光学. vol.26. 562-568 (1997)
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[Publications] H.Makino, T.Harayama and Y.Aizawa: "Effects of bifurcations on the energy level statistics for oval billiards" Physical Review E. vol.59. (1998)
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[Publications] S.Shinohara and Y.Aizawa: "Indicators of Reconnection Processes and Transition to Global Chaos in Nontwist Maps" Progress of Theoretical Physics. vol.100. 219-233 (1998)