1998 Fiscal Year Annual Research Report
磁場中における表面原子フォノンの分散関係と吸着分子エネルギー散逸の理論的考察
Project/Area Number |
09640474
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
島村 勲 理化学研究所, 原子物理研究室, 副主任研究員 (30013709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
季村 峯生 山口大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (00281733)
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Keywords | イオン・表面衝突 / 表面フォノン / 電荷移行過程 / 原子・表面衝突 |
Research Abstract |
平成10年度は固体表面への分子吸着と、吸着した振動励起分子の振動エネルギーの固体への散逸過程についての理論展開とその応用研究を重点的に実施した。分子はそれ自身で幾つかの自由度を、固体表面は無限大の自由度をもつため、表面-分子間相互作用は一般に非常に複雑なものである。我々は最も簡単な系である金属表面上の2原子分子の反応を取り上げ、表面-分子反応の基礎の理解を深めることを本研究で目的とした。反応機構解明にあたっては、個々の反応を決定ずける主要な自由度のみを取り上げ、対象の系を簡潔なモデル化した。数eVの衝突エネルギーでの分子衝突過程では並進-振動相互作用及び分子振動-表面フォノン相互作用が主な相互作用であり、これらの相互作用を通しダイナミックスが起きる。吸着は分子間のボンドを切らずに分子のまま吸着する分子状吸着と、吸着してから分子が解離する解離吸着とにわけて考えられる。この解離吸着系では並進-振動相互作用が主なダイナミックスを起こす相互作用と考えられる。分子状吸着はむしろ振動-フォノン相互作用が主にきいてくるダイナミカル過程とかんがえられる。分子-表面反応ダイナミックスの理論的解析には、古典トラジェクトリー法、量子論的時間依存シュレジンガーをもとにしたC1ose-coup1ing法があるが、吸着分子が軽い分子の場合量子効果が無視できず、量子論的に扱う必要がある。我々は分子-表面のポテンシャル面は量子化学的方法で精度良く決定し、ダイナミックスは量子論によるC1ose-coup1ing法を用いて調べた。この新しい手法を、幾つかの実験的にも重要な系、H2/Cu, NO/Ag散乱系、に適用し、実験結果の解釈を試みた。
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