1999 Fiscal Year Annual Research Report
励起状態にある標的からの多価イオンによる電子捕獲過程に現れる共鳴現象の理論的解明
Project/Area Number |
09640480
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
島倉 紀之 新潟大学, 理学部, 教授 (40111314)
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Keywords | 共鳴現象 / 多価イオン / 電子捕獲 / 低エネルギー / 励起状態 |
Research Abstract |
(1)多価イオンによる電子捕獲過程で共鳴がより高い衝突エネルギーで観測されるには、標的原子の分極率が大きいことと入射イオンの電荷が大きいことが必要である。しかし、これまでの我々の研究より、その他の要素(ポテンシャル曲線の反発など)も大きな影響を与えるため、系を慎重に選ばなければならないことがわかった。(ヘリウム、ベリリウム、ホウ素、炭素、窒素、酸素)の多価イオンと標的(水素原子、アルカリ金属原子(基底状態、励起状態))のすべての組み合わせに対して検討を行ったところ、最も高い衝突エネルギーで共鳴が現れたのは(He^<2+>+Na)衝突系であった。この衝突系では衝突エネルギー0.3eVにおいて共鳴が現れた。 (2)および(5)共鳴現象の解明のため、波束法に基づくいくつかのコードの開発を行い、(N^<5+>+H)衝突系に適用した。新たに開発した時間依存の量子論的多チャンネル緊密結合法に基づき断面積の計算を行ったところこれまでの計算値とよく一致した。また、波束が準分子の回転・振動状態につかまり、有効ポテンシャルの井戸中に長いこと存在する様子を可視化できるようになり、共鳴現象に対する理解が深まった。準分子の井戸の近辺で他の電子状態に移れる場合には、遷移確率が大きくなることもわかった。 現在、(He^<2+>+Li)衝突系に対して波束の計算を実行中である。 (3)(Be^<q+>(q=1-4),B^<q+>(q=1-5)イオン+アルカリ金属標的)衝突系に対し、量子論的緊密結合法を用いて断面積を計算し、共鳴の現れる衝突エネルギーを求めた。共鳴は(Be^<2+>+Li)衝突系で、最大0.06eVの衝突エネルギーで現れることがわかった。 (4)半古典的緊密結合法を標的が励起状態にある場合にも扱えるように改良した。 (6)実験による共鳴の観測を目指し、東京都立大、米国のカンサス大、米国の国立オークリッジ研究所の3つのグループが合同で実験を開始することになっている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] S. Suzuki: "Electron capture and excitations in collisions of Si^<2+> ions with He atoms at intermediate energies."Phys. Rev., A. 60・6. 4504-4509 (1999)
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[Publications] Y. Arimoto: "Unexpected reduction of spin-exchange cross section for fast ^3He^+ ion incident on Rb atom."Europian J. Phys.,. (in press).
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[Publications] N. Suzuki: "Resonances in electron capture by highly charged ions: A new method by using quantum-mechanical wave-packet model."Abstracts of Papers, XXIth ICPEAC (Sendai), XXI. TH. 102 (1999)
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[Publications] S. Suzuki: "The electron capture processes in collisions with He atoms and Be^<q+> (q = 2, 3, 4) ions at low to intermediate collision energies."Abstracts of Papers, XXIth ICPEAC (Sendai), XXI. TH. 103 (1999)
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[Publications] Y. Sakurai: "Electron capture and transfer-excitation processes in slow collisions of C^<6+> ions with He atoms."Abstracts of Papers, XXIth ICPEAC (Sendai), XXI. TH. 104 (1999)
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[Publications] S. Kita: "Excitation processes in moderate-energy K^+ - Ne collisions."Abstracts of Papers, XXIth ICPEAC (Sendai), XXI. MO. 116 (1999)
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[Publications] S. Suzuki: "Mutual neutralization processes in collisions between H- ions and Na^+ ions in the energy range from 20 eV to 10 keV."Abstracts of Papers, XXIth ICPEAC (Sendai), XXI. TU. 092 (1999)