1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640482
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北野 正雄 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70115830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 久直 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (50025954)
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Keywords | 波動伝搬 / 幾何学 / Berry位相 / パラメトリック振幅 |
Research Abstract |
本研究の目的は、不均質媒質中の波動伝搬が示す幾何学的振舞いをいくつかの物理系を用いて実験的に研究することである.われわれは,Helmholtz方程式で記述される単純な1次元伝搬においても、以下に示すような多彩な幾何学的要素が含まれていることを明らかにしてきた。1)波動の振幅が示すスピノル性(2価性),2)空間スケール変換に伴う振幅のゲージ変換,3)空間発展を記述するLorentz-Bloch方程式,4)Berry位相.これは,解の空間発展が(2+1)-次元ローレンツ群[SO(2,1)あるいはSL(2,R)]による運動に帰着されることによる.このような幾何学的考えは波動の性質の直観的理解に大変役立つ。しかし一方、直観的には捉えにくい微妙な現象が含まれていることも明らかになった。例えば、波動の振幅が示す2価性はスピン-1/2を表す波動関数のスピノル性とよい対応を示しているが、これは従来見落とされてきたものである。量子力学に固有のものだと考えられている2価性が古典力学の世界に(近似的にではるが)存在することは,大変興味深いことである.今年度は特に波動振幅の2価性に関する研究をすすめた。最初に実験に適したパラメトリック振幅器の設計を回路シミュレータを用いて行なった.干渉実験を行なう必要から,位相の時間安定性が確保できる回路構成をとった.回路シミュレータ上で,2ないし4台のパラメトリック振幅器を用いてマッハツェンダ干渉計を組み立て、波動振幅の2価性の検出を試みたところ,理論予想どおりの結果が得られた.現在、実際の回路を製作し,実験の準備を進めているところである.
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