1997 Fiscal Year Annual Research Report
複素座標法による分子の超励起状態および光イオン化過程の理論研究
Project/Area Number |
09640490
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藪下 聡 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (50210315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 道彦 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (40276415)
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Keywords | 共鳴状態 / 複素座標法 / スレータ型軌道 / ガウス型軌道 / 最小二乗法 / 形状共鳴 / 解析接続 / 二電子励起状態 |
Research Abstract |
原子・分子に見られる量子力学的共鳴状態を取り扱う手法の一つである複素座標法を具体的に応用するために、その基底関数の構築を行い、またいくつかの応用計算を行った。 まず、複素座標法に用いる基底関数として、電子散乱状態用に複素軌道指数を持つスレータ型軌道を、3〜6個のガウス型軌道の線形結合で近似し、共鳴状態の計算に用いることを考えた。このときガウス型軌道の軌道指数を実数に制限して、最小二乗法で最適化した結果、あまり共鳴幅の広い状態には使えないことがわかった。そこでさらに軌道指数が等比級数をなす様な制限を加えて最適化して、数値的に安定な基底関数を構築することが出来た。この基底関数を、H_2の二電子励起状態、H_2の形状共鳴状態に応用して、以前の理論値を少ない計算量で得ることが出来る様になった。この方法の特徴は、通常の量子化学計算用の実数演算用の積分プログラムが使用出来、その場合のハミルトニアンの解析接続は、ガウス型軌道の複素数展開係数を通して行なえ、非常に簡単になる点である。また複素軌道指数を使った場合に、分子積分が解析的に実行出来ない場合でも、この方法で解析接続することが可能となるなどの利点を持つ。 複素座標法の応用として、その他に、H_2の二電子励起状態の位置と共鳴幅が、その電子相関の取り扱いによって、どの程度変化するかを調べた。その結果、共鳴位置に関しては、基底状態とはかなり異なった振る舞いをし、またその幅に関しては、内外相関を加えることで狭くなるのに対し、角度相関を加える場合は逆に広くなることが分かり、この結果を二電子の相関運動と関係させて議論した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tomokazu Yasuike: "Why Do Vanadium Atoms Form Multiple-Decker Sandwich Clusters with Benzene Molecules Efficiently?" Journal of Physical Chemistry A. 101(29). 5360-5367 (1997)
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[Publications] Eiji Sanoyama: "Spin-orbit CI Study on Multiplet Terms of Trivalent Lanthanide Cations" Journal of Molecular Structure(THEOCHEM). (in press).