1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640491
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
江馬 一弘 上智大学, 理工学部, 助教授 (40194021)
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Keywords | コヒーレントフォノン / 相転移 / ポンプ・プローブ / フェムト秒分光 |
Research Abstract |
この研究の目的は、物質の特定の状態に対応するフォノン周期に一致した光パルス列を用いて大振幅のコヒーレントフォノンを発生させ、その状態への相転移を促すということにある。その準備として、まずコヒーレントフォノンの制御を行うための最適な条件を探る必要がある。今回はフォノン周期や信号強度がこれまでよく研究されているGaAsを用いて反射型ポンププローブ法を行い、コヒーレントフォノンの観測を試みた。GaAsのフォノン周期(110fs)は使用した光源(モードロックチタンサファイアレーザー)のパルス幅(150fs)に比べ短いため、現状では信号が平滑化し、コヒーレントフォノンの観測は不可能である。そこで、高分散プリズム対を用いてパルスが持つ周波数チャープを補正し、パルス幅を約80fsまで圧縮した。また、コヒーレントフォノンに起因する反射率変化は10^<-5>程度と極めて小さいため、ロックイン検出した上で多数回積算する等S/Nの改善に努めた。実験の結果、バンド間遷移による反射率変化ははっきりと観測でき、コヒーレントフォノンの観測に十分なS/N比が得られていることが見積もれた。しかしながらコヒーレントフォノンによる信号を分離することはできなかった。これはパルス幅の圧縮が未だ不十分であるためと考えられる。現在我々は、より確実に観測を行うために、GaAsよりコヒーレントフォノンによる信号が1桁大きく、かつフォノン周期が長い(約340fs)ビスマスの結晶を準備中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] J.Ishi: "Third-order optical nonlinearity due to excitons and biexcitons in a self-organized quantum-well material (C_6H_<13>NH_3)_2 PbI_4" J.Nonlinear Opt.Phys.Mater.Vol.7. in press (1998)
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[Publications] Y.Ueno: "Ultratast Excitonic Nonlinearity in Regioregular Head-to-tail Coupled Poly (3-Hexylthiophene)" J.Nonlinear Opt.Phys.Mater.Vol.7. (in press) (1998)
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[Publications] T.Kondo: "Resonant Third-order Optical Nonlinearity in the Layered Perovskite-type Material (C_6H_<13>NH_3)_2PbI_4" Solid State Commun.105. 503-506 (1998)