1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640492
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
藤井 保憲 日本福祉大学, 情報社会科学部, 教授 (60012308)
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Keywords | 宇宙論 / 宇宙定数 / 散逸構造 / カオス / フラクタル / アトラクター |
Research Abstract |
宇宙定数問題について以前おこなった研究で得られた解の初期値依存性を、部分的にではあるが、詳細に調べた。その結果、特に鋭敏な依存性の例を多数集め、それとふつうの意味のchaotic behaviorとの関連を考察した。結論としては、我々の解が示すものはincomplete chaosあるいはincomplete fractalsと呼ばれるべき、新しい形の散逸構造として、興味ある対象であることがわかった。この点を簡単に説明する。 問題の本質的部分を議論するために、宇宙論的な部分を取り除いた2-scalar systemに焦点をあてるが、解の最大の特徴は、1ntに関して近似的に周期的なくりかえしが現れることである。その「周期」は、主として系の摩擦係数によって支配される。これは、非線形系に現れる多くのpattern formationの例と似ている。ところが、解は最終的には単純なfixed-point attractorに収束する。それに達する以前に、くりかえしをする回数Nを考える。このNが、初期値とともに(近似的に)飛躍する。これがchacotic systemsの特徴に一致すると考えたのであるが、最終的にstrange attractorを示さないという点で、純粋のchaos(あるいはfractal)とはみなし得ない。 しかし別の観点からは、純粋のchaos/fractalは、つまるところ自然現象の数学的理想化であり、むしろ、上でincompleteと呼んだものの法が実際に近い記述を与えてくれる可能性も期待できる。特に生命現象との関連は興味のある点である。 以上の結果について、予備的な報告をXXXIIIrd Rencontres de Moriond,Fundamental Parameters in Cosmology(Les Arcs,France,January 17-24,1998)において発表した。Proceedingsとして出版される予定である。
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Research Products
(1 results)