1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640505
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小屋口 剛博 東京大学, 地震研究所, 助教授 (80178384)
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Keywords | 火山噴煙 / 噴火のダイナミックス / 流体実験 / マグマ / 火砕物 / リモートセンシング / 数値実験 / 破砕作用 |
Research Abstract |
本年度は以下の3点について成果をあげることができた。(1)浅間火山天明(1783年)の噴火について、堆積物と古文書から噴火の推移を再現した。特にプリニ-式噴火の噴煙のダイナミックスと破砕作用の違いによる噴火様式の違いについて焦点をあてた。その結果、この噴火では、1783年の5月に噴火が開始して以来、一回の爆発における噴煙の高度が徐々に増加し、8月4日に最高潮に達したこと、8月4日の噴火においてマグマの破砕の程度が低下に伴って噴火タイプがプリニ-式噴火から火砕流噴火に変化したこと、などの知見を得ることができた(発表文献参照)。現在、噴煙の拡散に対する風の影響について、粒径の違う軽石の運搬様式違いを調べることによって詳細な検討を進めている。(2)堆積物の粒径を用いて、プリニ-式噴煙の傘型域の拡大速度を推定する手法、および極細粒火山灰を含む堆積物総量の推定する方法を確立した。これらの手法を1991年ピナツボ噴火の堆積物に適用した結果、人工衛星で求めた拡大速度の見積りとよい一致をすること、また、この噴火において70から80%の噴出物が数10ミクロン以下の細粒火山灰である可能性があることがわかった。細粒火山灰の成因については、現在、電子顕微鏡などを用いた観察によって、記載が進められている。(3)人工衛星の画像から噴煙のダイナミックスを定量的に推定するためには、噴煙の密度が大気の密度と釣り合ったのち重力流として水平に広がる際の流体的挙動を理解することが重要であることがわかった。密度成層した流体中での重力流について数値実験と流体実験を行った結果、噴煙が大気の密度と釣り合った後、相当量の大気を噴煙中に混入する可能性があることが示唆された。現在この点については定量的な検討がなされている。
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