1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640511
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Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
大迫 正弘 国立科学博物館, 理工学研究部, 室長 (60132693)
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Keywords | マントル物質 / 熱伝導率 / 熱拡散率 / 高圧力 |
Research Abstract |
地球深部を構成する物質の熱伝導を高温高圧下で測定し、地球内部での値を推定することは、そこで起こる変化(ダイナミクス)を解き明かす一手段である。しかしながらこのような研究に適用できる熱的性質のデータはまだ不十分である。本研究においては、これまでに常温にて圧力8GPaの範囲で天然のザクロ石さらにカンラン石について良好な測定結果を得た。そこで次の段階として、温度を上げての実験を始めた。 測定には今までと同様にパルス加熱法を用いる。円盤形状の試料を底面に平行に3等分し、その分割面の一つをパルス電流で瞬時加熱し、もう一方の分割面で温度の過渡的変化をとらえて、熱拡散率と熱伝導率を同時に求める。測定精度が良くなれば、高圧でほとんど実測されていない地球深部物質の熱容量も知ることができる。 実験は6.8分割球高圧装置で行った。切り落とし長さ11mmのアンビルに一辺18mmの八面体圧力媒体を用いた。試料の直径は4mm、全厚は1mmである。試料を昇温するヒーターの形状は、試料が寸胴なこととパルス加熱用ヒーターおよび熱電対電極の取り出し位量との関係から薄板状とし、これで試料部分を上下に挾むようにした。温度の上限をひとまず1000℃とし、ヒーターの材質にニクロムを使用する。 試料の昇温を60Hzの交流で行うために、測定に必要なパルス加熱による熱起電力の変化に比べて遥かに大きい(800℃のとき100倍以上)障害誘導電圧が熱電対の出力端子に現れる。しかし昇温を直流で行うことは設備の大がかりな変更が必要で現状では不可能である。そこで誘導の交流分をアナログ的に相殺するか、ストレージした後デジタル処理して除くかして、熱起電力の変化分だけを取り出す必要がある。現時点ではまだ測定結果を得るまでになっていないが、圧力10GPa温度1000℃までの測定を目標に来年度も引続き実験を行う。
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