2000 Fiscal Year Annual Research Report
人工衛星合成開口レーダ干渉法による遠隔地地形モデルの作成およびその検証
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09640512
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
青木 茂 国立極地研究所, 南極圏環境モニタリング研究センター, 助手 (80281583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 拓 国立極地研究所, 地学部門, COE研究員
澁谷 和雄 国立極地研究所, 南極圏環境モニタリング研究センター, 教授 (80132710)
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Keywords | 干渉合成開口レーダ / 地形標高モデル / ERS-1 / 2 / 干渉画像 / 干渉縞 / 棚氷 / グランディングライン / GPS |
Research Abstract |
本研究は、氷床質量収支の実態を明らかにする手法開発の一環として、干渉SAR法による地形モデルならびにその変動導出手法の確立を目指している。12年度は、最終年度として、氷床末端部棚氷域におけるグランディングラインの検出とその周辺域での水平・鉛直変動の評価を行ない、干渉SAR法により求められる干渉縞の特性評価を行なった。また、現場での検証観測手法を確立する目的で、海氷上と大陸地殻上にGPS受信機を設置して行なった観測について干渉処理解析を行ない、GPS観測の有効性を調べた。 氷床末端部棚氷域は、大陸氷床域からの流入に起因する水平変動と、海洋変動を反映した鉛直変動を伴い、干渉SAR法の適用可能性を評価する上で興味深い領域である。氷床下基盤に着底している大陸氷床域と海洋に浮上している棚氷との境界域(グランディングライン)においては、鉛直変動に空間的な勾配が生じ、干渉SAR画像上に間隔が密な干渉縞が現れることが予想される。リュッツォ・ホルム湾西方に位置するボードワン棚氷を対象として、ERS-1/2のタンデムミッションのSARデータを用いて解析を行なった。干渉SAR法によってグランディングラインを検出することに成功し、これをトレースすることによって、グランディングラインの精密な空間分布を求めた。棚氷の鉛直変動については、数時間から数日程度の周期帯において最も顕著な変動は海洋潮汐に起因するものであると考えられる。干渉SAR法により得られた変動縞から求めた鉛直変動は、海洋潮汐モデルと大気圧の影響を考慮した鉛直変動とよく一致することが示された。これは、干渉SAR法が鉛直方向の変動導出に対しても有効であることを示すものであり、現場観測の少ない極域での海洋潮汐モデル改良への応用などが期待される。 こうした棚氷や定着氷の変動特性に対する現場検証観測手法を確立するため、海氷上において行なわれたGPS干渉測位観測データの解析を行なった。圧力計や目視観測を用いた同時観測との比較から、GPSにより求められた海氷の鉛直変動は、海水位の変動をよく捕らえていることが示された。これにより、GPSが海氷上における現場検証データを提供する手段として十分な精度をもつことが明らかになった。SARデータの地上検証観測点としてGPSを効果的に配置・利用することにより、大陸氷床部のみならず棚氷部を含む雪氷域全域における変動のより精密な観測が可能になると期待される。
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[Publications] 小澤拓 他: "JERS-1の干渉合成開口レーダ法を用いた南極氷床流動・変形の検出"測地学会誌. 46巻・1号. 43-52 (2000)
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[Publications] Shigeru Aoki et al.: "GPS observation of the sea level variation in Lutzow-Holm Bay, Antarctica"Geophysical Research Letters. Vol.27,No.15. 2285-2288 (2000)
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[Publications] Shigeru Aoki et al.: "Ocean tide observed with differential G PS technique in Lutzow-Holm Bay, Antarctica"Journal of Geodetic Society of Japan. (In press). (2001)