1998 Fiscal Year Annual Research Report
氷の塑性異方性を考慮した新流動則による氷床の動力学的研究
Project/Area Number |
09640523
|
Research Institution | NAGAOKA UNIVERSITY OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
東 信彦 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70182996)
|
Keywords | 氷の流動則 / 氷床の動力学 / アイスファブリック / 塑性異方性 |
Research Abstract |
1.氷を平面歪状態で変形する場合に拘束面圧を測定できる二軸クリープ装置を開発し、それを用いて多結晶氷の二軸圧縮(平面歪)クリープ実験を行った。実験にはC軸方位がランダムな人工多結晶氷を用い、変形中の応力成分の変化と結晶組織およびファブリック(C軸方位分布)の変化を調べた。これより以下のことが明らかとなった。 (1) ファブリックは歪みの増加に伴い、伸長軸と圧縮軸に対して45度傾いた最大せん断応力面にC面が一致するような二極大型分布が発達した。結晶組織観察から歪みが5%を超えると再結晶が活発になると考えられる。 (2) 拘束応力(σy)と圧縮応力(σz)の比σy/σzはC軸方位分布がランダムな場合は0.5となり等方性理論による計算値と一致するが、ファブリックが発達するに伴い応力比が変化する。 (3) 塑性異方性を考慮した流動則(Azuma,1994)によれば実験結果をうまく説明できることが明らかとなった。昨年度の一軸圧縮クリープ実験および今年度の二軸圧縮実験でAzumaの流動則が有効で在ることが検証できた。 2. ファブリックを自動測定する装置を開発し、本実験での測定に応用した。 3. Azumaの流動則に基づき氷床中のテクスチャ変遷をシュミレートするモデルを提案し、これから過去の地球の気候変動に関する新しい情報が引き出せることを示した。
|
Research Products
(1 results)