1999 Fiscal Year Annual Research Report
陸棚斜面から豊後水道底層への冷水塊の流入に関する研究
Project/Area Number |
09640525
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Research Institution | EHIME UNIVERSITY |
Principal Investigator |
武岡 英隆 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (90116947)
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Keywords | 豊後水道 / bottom intrusion / 急潮 / 生物生産 / 大陸棚 / 陸棚斜面 |
Research Abstract |
本研究は、豊後水道で夏季に起こる陸棚斜面から底層への冷水の流入(bottom intrusion)の実態とその発生機構を解明し、あわせてこの現象の豊後水道及び瀬戸内海に対する影響を明らかにすることを目的としている。本年度は、(1)豊後水道南部海域海底における3ケ月間の流速計の係留観測、(2)愛媛県漁連が豊後水道東岸に設置した多層水温計による9層の水温観測データの解析、(3)愛媛県水産試験場などの既存データの解析、等と3年間のとりまとめを行った。本年度明らかになったことは以下のようである。 (1)1999年夏季のbottom intrusionは非常に弱かった。bottom intrusionの弱い時期には豊後水道底層より南部の陸棚斜面域へ定常的な流出がある。 (2)bottom intrusionにより流入した低温水は栄養塩を豊富に含む。この栄養塩が速吸瀬戸の強い潮流による鉛直混合や、豊後水道両岸の複雑な地形の海域で起こる効率的な鉛直混合によって有光層に供給され、夏季の生物生産を支えている。この結果、豊後水道では夏季に一時的なクロロフィル濃度の極大が起こる。 (3)bottom intrusionの強さには年による変動があり、1990年代に入って弱くなってきている。この結果、豊後水道の生産性も低下している。 (4)豊後水道の表層には太平洋から間欠的に高温水塊が流入し、急潮と呼ばれている。急潮の強さとbottom intrusionの強さには経年的に見ると相関があり、急潮の強い年にはbottom intrusionも強い。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 武岡英隆: "外洋から瀬戸内海への栄養塩の流入とその最近の変化"瀬戸内海. No.19. 4-7 (1999)
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[Publications] Takeoka,Koizumi,Kaneda: "Year-to-year variation of a kyucho and a bottom intrusion in the Bungo Channel,Japan"Interactions loetween Estuaries,Coastal Seas and Shelf Seas.Terra Scientific Publishing Company. in press (2000)