1997 Fiscal Year Annual Research Report
大陸棚緑辺部における乱流混合と陸棚水の輸送過程に関する研究
Project/Area Number |
09640526
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松野 健 長崎大学, 水産学部, 教授 (10209588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 利一 長崎大学, 水産学部, 助教授 (20284713)
鈴木 款 静岡大学, 理学部, 教授 (30252159)
金成 誠一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70027233)
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Keywords | 海底高濁度層 / 貫入 / 内部波 / 染料拡散実験 |
Research Abstract |
1997年5月26〜28日(1回目調査)及び1997年11月6〜12日(2回目調査)に、東シナ海中央部の大陸棚緑辺部において、CTDによる水温・塩分および濁度の鉛直分布測定を行い、2回目調査では、それに加えて係留系による流速と水温の時間変化の測定、マイクロスケールプロファイラー(MSP)によるエネルギー逸散率、マルチスケールプロファイラー(FMSP)によるエネルギー逸散率と平均流のシア-の鉛直分布測定、さらに染料の放出による拡散実験の試験を試みた。 側点間隔を短く設定した濁度の鉛直分布より、陸棚緑辺部の海底付近で観測される高濁度の水が、斜面域の中層部に貫入している様子が認められた。これは陸棚底層付近に分布する物質が黒潮中層に運ばれていることを示すものである。この流れを生ずる原因として、陸棚緑辺部付近における鉛直混合による非地衡流成分が考えられる。97年5月のCTDによる観測結果からは、密度場の変化によって、ちょうど高濁度の水が貫入している付近で、沖向きの非地衡流成分が起こりうることが示された。また、11月の調査では、FMSPによる平均流の鉛直シア-の測定より、やはり高濁度の貫入層に対応した沖向きの流れが認められた。係留系による測定からは、短い時間スケールの内部波の伝播、変形が観測された。 陸棚緑辺部付近の海面下100m層に染料を放出し、CTDと蛍光光度計を上下させながら曳航した実験を数時間継続することにより、染料の中心が流れによって移動しながら、拡散する様子が捉えられた。しかし染料パッチの全体像を捉えることは至難であり、今後染料拡散から乱流混合の強さを計測する試みについては検討する必要がある。
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[Publications] Matsuno,T., T.Hibiya, S.Kanari and C.Kobayashi: "Small Scale Internal Waves and Turbulent Fluctuations near the Continental Shelf Break in the East China Sea" Journal of Oceanography. 53. 259-269 (1997)