1997 Fiscal Year Annual Research Report
千島弧西南端,北海道北東部の新生代火山活動とテクトニクスの成因関係
Project/Area Number |
09640536
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
岡村 聰 北海道教育大学, 教育学部・札幌, 助教授 (40175261)
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Keywords | 千島弧火山 / 島弧火山 / エンリッチマントル / 枯渇マントル / Sr同位体比 / Nd同位体比 |
Research Abstract |
千島弧西南端に位置する厚田〜浜益周辺は前期中新世以降火山活動が活発で,鮮新世末期まで連続して活動している.本地域の新生代最初期の約20Maの火山活動は、陸上溶岩流を形成した活動である.約13Ma以降の後期中新世火山岩は、主にハイアロクラスタイトを主体とする水中火砕岩からなり、その後4Ma以降は陸上火山活動に移化し暑寒別火山群からなる成層火山を形成した. 約20Maの火山岩は高アルカリソレアイトからなり,LIL元素とHFS元素に富む特異な性質を示す.13.5-8.18Maの火山岩は島弧に典型的な岩石化学的性質を示し,カルクアルカリ・ソレアイト両系列が存在する.6.88Ma以降の火山岩はアルカリに富むカルクアルカリ岩・アルカリ岩からなりいずれも島弧火山岩の特徴を示す.ハーカー図で比較すると,K,Na,Tiは13.5-8.18Maの火山岩で低く,それ以降と約20Maは高い. 火山岩類の起源物質の性質を示すZr/Nb比は,約20〜8Maは20,6Ma前後は30,4Ma以降は25〜45を示し時間とともに高くなる.Sr同位体比は,約20〜8Maの火山岩が0.7050-0.7046,6Ma前後が0.7038-0.7039,4Ma以降が0.7035-0.7032であり,時間とともに低くなる.一方,Nd同位体比は,約20Maの0.5126から4Maの0.5129まで増加する傾向がある. これらの岩石化学的特徴から,約6Maを境にそれ以前とそれ以降の火山岩とではマグマの起源物質が異なっており,約6Maより古い火山岩はよりエンリッチなマントル,それ以降の火山岩はより枯渇したマントル由来であった可能性がある.約6Maの組織変化は,千島弧火山の形成テクトニクスに関連したリソスフェア〜アセノスフェアの履歴を反映したものであろう.
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