1997 Fiscal Year Annual Research Report
背弧海盆形成前後のマントルプリューム-北部北海道での検証-
Project/Area Number |
09640541
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
周藤 賢治 新潟大学, 理学部, 教授 (50143748)
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Keywords | 北海道 / 中新世 / 玄武岩 / HFS元素 / Sr同位体比 / Nd同位体比 / オホーツク海 / MORB |
Research Abstract |
北部北海道には,中新世玄武岩が各地に分布しているが,これらの玄武岩についての岩石学的研究および地球化学的研究などを行なうことによって,玄武岩およびそれらの起源マントルの地球化学的情報をえることができる.本研究によって,これらの玄武岩について下記の点が明らかとなった. 1)これまで検討した玄武岩はその全岩化学組成からは,いずれもソレアイト質のものである. 2)玄武岩分布域の東西方向および現在の太平洋プレートの沈み込み方向(北西-南東方向)でのK,Rb,SrなどのLIL元素含有量の広域的変化はみられない. 3)FeO^*/MgO<1,MgO>10%の未分化玄武岩が焼尻島,雄冬〜浜益地域,雄武地域,下川地域などに産する. 4)Zr,Nbなどの不適合の程度の大きいHFS元素に富み,Zr/Y-Zr図中では大半がプレート内玄武岩の範囲内にある. 5)Zr/Nb-Y/Nb図中では,MORBおよび東北日本の同時代・第四紀の玄武岩とは異なる領域にプロットされる. 6)各玄武岩の^<87>Sr/^<86>Srは以下のとおり.焼尻島:0.70311-0.70325,雄冬〜浜益地域:0.70314-0.70319,下川地域:0.70384-0.70394,紋別地域:0.70334,遠軽地域:0.70330-0.70340,置戸地域:0.70336-0.70338. 7)εSr-εNd図中ではMORBの領域よりεSrにやや富み,εNdにやや乏しい領域にプロットされる. 4),5)から北部北海道の中新世玄武岩は島弧性玄武岩とは異なっている.また,これらと6)とからMORBとも異なっているとみなされる.玄武岩の^<87>Sr/^<86>Srは0.7031から0.7039の比較的低い値を示すが,日本海側の玄武岩の方が中央部〜オホーツク海側のものよりも若干低い傾向にある.2)はこれらの玄武岩が太平洋プレートの沈み込みに伴う火山活動の産物ではないことを示唆している.これらの玄武岩質マグマは千島海盆の拡大に伴って生成されたものと推定されるが,その起源マントルは,HFS元素組成からは東北日本下のマントルとは若干異なっていると考えられる.日本海側と下川地域の未分化玄武岩のあいだで^<87>Sr/^<86>Srに違いがみられるので,玄武岩の^<87>Sr/^<86>Srにみられる広域的変異は,起源マントル内部での若干の不均質性を示すものと考えられる.
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