1998 Fiscal Year Annual Research Report
野外における地殻物質変形の延性-脆性遷移に関する研究
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09640542
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
豊島 剛志 新潟大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (10227655)
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Keywords | 断層岩 / 延性-脆性遷移 / 断層発生 / 細粒化過程 / 面状カタクラサイト / シュードタキライト / 地震 / クリープ |
Research Abstract |
本年度は,地殻深部変形岩として,日高帯(特に日高変成帯),肥後変成帯,領家変成帯,宇奈月変成帯,日本国片麻岩分布域において,形成環境・形成時期の異なるマイロナイト類・カタクラサイト類・シュードタキライトを採集した.特に宇奈月変成帯においては花崗岩起源のマイロナイト化したカタクラサイトを見出した.これは変成条件的には延性一脆性遷移領域で形成された断層岩である.断層内から壁岩の花崗岩に注入する派生脈としてのカタクラサイトも観察される.これはカタクラサイト形成時に断層破砕物の移動性が高かったことを示している.また,カタクラサイト形成時とそれがマイロナイト化する時期で変成度的に変化がないことから,延性-脆性遷移を引き起こした要因として歪速度の変化やfluidの効果が考えられる.地殻浅部変形岩として,新潟県五頭山塊西部・蒲萄山塊西部において花崗岩起源・新第三系起源のカタクラサイト類・断層ガウジ類の解析を行った.その結果,五頭山塊西部では断層岩類形成とその後の変質作用との時間的関係,変質作用の性格と断層岩の色の変化との相関が明らかとなった.一方,蒲萄山塊西部では断層岩類の組織解析に基づいて,断層の発生〜進化過程を追跡し,本地域断層岩類が面状カタクレーサイト,無構造〜弱面状カタクレーサイト,面構造の発達するウルトラカタクレーサイトの順で進化することを明らかにした.そして,断層発生初期に形成される面状カタクレーサイトには組織的に異なる2種類があることを見出した.一方はシュードタキライトを伴うことから地震性の断層運動により発生し,他方は異種鉱物粒界を乱さないことからクリープ的な変形により発生したことを示した.さらに,断層岩類中の破砕片の形態・粒度分布の変化に基づいて,カタクラシスにおける細粒化過程を解析し,変形メカニズムが破砕・破断から摩耗・研磨に変化することを見出した.
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