1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640556
|
Research Institution | KOCHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
近藤 康生 高知大学, 理学部, 助教授 (90192583)
|
Keywords | 物理的撹乱 / 二枚貝類 / 底生動物 / 古生態 |
Research Abstract |
最終年度である本年は,これまでの研究成果を基礎として,独自に調査した浅海域における二枚貝類化石の分布データに,文献情報を加えたうえで三畳紀から現在に至るまで同じ条件で集成・再検討した.この作業により,三畳紀以後現在に至るまでの二枚貝を中心とする浅海生底生動物群の海底環境開拓史の概略を明らかにすることができた.特に,これまで明確に指摘されることがなかった,白亜紀から新生代にかけての二枚貝類の外浜・前浜環境への生息地拡大を明らかにすることができたのは大きな成果であった.具体的には,すでにジュラ紀最前期には,少なくとも内湾の下部外浜にはVaugoniaなど,サンカクガイ類が分布していたことがはっきりした.また,上部外浜へ二枚貝類がはじめて進出したのは白亜紀前期のNipponitrigoniaであり,前浜(潮間帯)に初めて進出したのは白亜紀後期のフジノハナガイ科二枚貝であったと考えられる.この分布拡大現象は,これまで中・新生代の底生動物群について多くの研究者が指摘してきた「内生化の進行」と並んで古生態学的にきわめて重要な現象であると考えられる.この現象はまた,進化における生息地転換・拡大の重要性を示唆しており,この視点による進化パタンの解明が次の大きな研究課題として浮かび上がりつつある.一方で,この仮説をさらに実証していくために,基礎となるデータベースを充実させるための調査の必要性も明らかになってきた.また,内湾から外海にかけての堆積相を区別するための堆積相モデルの確立の必要性もはっきりとしてきた.
|
-
[Publications] 安藤寿男、近藤康生: "化石密集層の形成様式と堆積シーケンス"地質学論集. 54. 7-28 (1999)
-
[Publications] 近藤康生: "急速埋没によって形成されたセンサス化石群とその認定"地質学論集. 54. 85-98 (1999)
-
[Publications] 小笠原憲四郎(編): "タフォノミーと堆積過程-化石層からの情報解読"日本地質学会. 195 (1999)
-
[Publications] 奈良正和: "ダイナミック古生態学"日本古生物学会. 95 (2000)