1998 Fiscal Year Annual Research Report
底生有孔虫による過去500万年間の海洋環境変動の解明
Project/Area Number |
09640557
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
安田 尚登 高知大学, 理学部, 助教授 (90175646)
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Keywords | 底生有孔虫 / 海洋環境変動 / 海洋生物生産 / milankovitch cycle / タスマン海台 / 周期性 |
Research Abstract |
本年度は、大西洋に続き、南極周辺の2本のコア(KH94-4,TSP-2PC,TSP-4PC)の検討を始めた。これらのサンプルは,より詳細に時間軸が補正され、有孔虫のサンプル間隔も同位体比サンプルの2倍という解析精度を実現した。拾い出した底生有孔虫のうち、比較的多く産出する4種について、単位面積・単位時間当たりの個体数(BFAR)を計算した。BFARは、有孔虫の生産活動が量的にどのように変化したかを示すもので、主要種の産出傾向から、過去50万年間の表層の生産性変動を復元した。 主な結果は、次のようである。 1) 酸素同位体比カーブの比較から、Alabaminella weddellensisのBFAR peakと同位体比カーブの急激な寒冷化が、きわめて良い相関を示し、寒冷期に表層からのphytodetritusの供給がきわめて多くなったことを示している。つまり、タスマン海台付近の生物生産性が高まったことを示している。 2) A.weddellensisの周期性を計算したところ、明瞭なMilankovitch cycles(100k,41k,23k)が得られた。これは、特筆すべき成果で、これまで底生有孔虫がこれほど明瞭な周期性を示した例はない。この結果は、タスマン海台の位置的な優位性と、この種の持つ反応プロセスに意味がある。 3) A.weddellensisと同様な性質を持つEpistominella exiguaは、同じ周期性を示さなかった。これは、影響を及ぼす要素が、単一でないことを示している。
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