1999 Fiscal Year Annual Research Report
底生有孔虫による過去500万年間の海洋環境変動の解明
Project/Area Number |
09640557
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
安田 尚登 高知大学, 理学部, 助教授 (90175646)
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Keywords | 底生有孔虫 / 海洋環境 / 地球環境 / 環境周期 / ミランコヴィッチ / 環境要因 |
Research Abstract |
11年度は、主にタスマン海台の試料を用いて、phytodetritus speciesの産出変動とその意義について検討した。予察的な検討で、Alabaminella weddellensis Epistominell exiguaの2種は、極めて特異な産出傾向を示すことがわかっていた。今回はその原因(環境要素の特定)と周期性解析を行うこととした。 1) 環境要素・制御要因の特定 Alabaminella weddellensisとEpistominell exiguaの2種のフラックスは、酸素同位体比カーブと逆の傾向を示していたこと。これは、明らかに寒冷・温暖の要素に関連があることがわかる。これら2種の制御要素は、えさであるphytodetritusと考えられるので、寒冷期には生産性をあげる可能性が示唆された。 2) 周期性解析 周期性解析は環境要素の特定に欠かせない方法である。2種の解析結果から、Alabaminella weddellensisは、ひじょうに明瞭なミランコヴィッチ・サイクルを示していることが明らかとなった。これは、A.weddellensisがphytodetritus speciesであることから、えさであるphytodetritusのパルスがミランコヴィッチ・サイクルであったことを意味している。さらに、これは、高生産性海域が寒暖のサイクルでタスマン海台に押し寄せていたことにつながる。つまり、寒冷期には、周南極流が北上し、タンスマン海台に届き、温暖期には遠ざかった。このサイクルはまさに地球の周期性そのものであったために、A.weddellensisフラックスにもその周期が刻まれたものと考えられる。
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