1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640559
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
八尾 昭 大阪市立大学, 理学部, 教授 (40047353)
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Keywords | ジュラ紀 / 放散虫化石 / 古太平洋 / 海洋環境変動 |
Research Abstract |
本研究は,西南日本の丹波-美濃帯・秩父帯を構成するジュラ紀付加体のジュラ系から保存良好な放散虫化石を摘出して群集組成を解析し,その経時変化の実態を明らかにすることによって,ジュラ紀における北西古太平洋域の海洋古環境の変遷を考察することを目的としている.この研究目的を達成するために,平成9年度は主として美濃帯のジュラ系放散虫化石,及び比較検討のためにペルム系-三畳系放散虫化石を検討した.その結果は次の通りである. 1.ジュラ紀古世後期から中世中期にかけての放散虫化石群集の変遷の概略はすてに検討済みであるが,ジュラ紀中世中期の保存良好な放散虫化石群集に関して詳細な群集組成解析を行い,従来明らかにしてきた放散虫化石種の出現率・消滅率などの経時変化の傾向をより一層明らかにした.つまり,ジュラ紀中世前期から中期にかけては,百万年あたりの種の出現数は70数種から20数種へと減少する一方,種の消滅数は30数種から50数種へと増加することが確かめられた. 2.比較のために検討したペルム紀新世-三畳紀にかけての放散虫化石群集の変遷については,ペルム紀-三畳紀境界をはさんで急激な種数の減少という変化が見られ,三畳紀古世から中世にかけて急速に種数が増加する傾向が明らかになった. 3.以上の2つの検討結果は,北西古太平洋を含んだ広海洋域における海洋環境変動が放散虫化石群集の変遷に密接にかかわっていたことを示唆する.また,放散虫化石群集変遷パターンから海洋環境変動パターンを復元しうることも示唆すると考えられる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 八尾昭: "ジュラ紀古-中世放散虫化石群集の変遷" 大阪微化石研究会誌,特別号. 10号. 155-182 (1997)
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[Publications] 八尾昭・桑原希世子: "ペルム紀新世から三畳紀中世にかけての放散虫群集の変遷" 大阪微化石研究会誌,特別号. 10号. 87-96 (1997)