1998 Fiscal Year Annual Research Report
地球内部関連物質における原子の動的挙動の観測とシミュレーション
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09640570
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉朝 朗 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00191536)
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Keywords | 地球内部物質 / 回析法 / EXAFS法 / 原子の熱振動 / イオン伝導性 / 有効二体間ポランシャル / 相転移 / 分子動力学シミュレーション |
Research Abstract |
地球内部物質の原子の拡散、相転移などの諸現象は結晶中の原子の熱振動と深く結びついている。原子の動的挙動を回折法やEXAFS法などの観測・実験により明らかにすることは重要である。実験で到達できないような極端条件下ではシミュレーションにより原子の動的挙動を調べることが行われが、用いられる二体間ポテンシャルに観測的に制限や妥当性の有無が与えられることが重要である。 放射光と高精度測定装置を用いることで精度の良いデータが高温高圧条件下等でも得られた。非調和熱振動解析より得られる動径分布関数ρ(r)から有効二体間ポテンシャルの実測が行えた。現実の有効二体間ポテンシャルが、地球内部条件下での熱や圧力による構造相転移など、配位環境変化に伴って変化することを定量的に観測した。二体間ポテンシャルを観測することで原子の拡散の活性化エネルギーや拡散移動の経路など原子の動的挙動を捕らえた。多くの鉱物は、イオン性と共有性の両化学結合様式の混在した状態にある。代表的な二成分系共有結合性の鉱物において、系統的にイオン性増加に伴って非調和熱振動が顕著になり、大きな拡散係数を有するイオン伝導特性が現れることをみいだした。これらイオン性の混在した共有結合性の鉱物が、金属結晶やイオン結晶に比べ第一近接原子とたいへん大きな相関のある局所振動をしたフォノンによる熱伝導機構であることも明らかにした。地球内部とくにマントル層における鉱物の化学結合性や原子の拡散移動や熱伝導のメカニズムについての情報を得た。分子動力学法によるシミュレーションに観測から得たポテンシャルを導入してquartz型とrutile型に適用した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] A. Yoshida, et al.: "Pressure and temperature dependence of EXAFS Debye-Waller factors in diamond type and white-tin type germanium." J. Synchrotron Rad.6. 43-49 (1999)
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[Publications] A. Nakatsuka, A. Yoshiasa, 他: "Structure refinement of birefringent Cr-bearing majorite Mg_3(Mg_<0.34>Si_<0.34>Alo_<0.18>Cr_<0.14>)_2Si_3O_<12>." American Mineralogist,. accepted.
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[Publications] A. Nakatsuka, A. Yoshiasa 他: "Cation distribution and crystal chemistry of Y_3Al_<5-x>Ga_xO_<12> (0≦x≦5) garnet solid-solutions." Acta Cryst.in press.
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[Publications] 大川真紀雄、吉朝 朗: "ケイ酸塩鉱物や誘導構造をとる酸化物にみられる特異な5配位陽イオン席" 日本結晶学会誌. 印刷中.
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[Publications] A. Yoshiasa, et al.: "Effective pair potentials of NaCl- and CsCl-type KBr determined by X-ray absorption fine structure under pressure." Jpn. J. Appl. Phys.37. 728-729 (1998)
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[Publications] A. Yoshiasa, et al.: "The mean -square relative displacement and displacement correlation function in tetrahedrally and octahedrally coordinated A^NB^<S-N> crystals." Jpn. J. Appl. Phys.36. 781-784 (1997)