1998 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界熱水溶液中における金属の溶存状態に関する研究
Project/Area Number |
09640576
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
内田 悦生 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40185020)
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Keywords | 超臨界 / 熱水溶液 / トソクロロ錯体 / カドミウム / 生成定数 |
Research Abstract |
平成10年度では、超臨界熱水条件下におけるカドミウムのトリクロロ錯体の生成定数を実験により求めた。実験方法は、従来当研究室で行ってきた方法と同様であり、CaTiO_3とCdTiO_3の2相と共存するCaCl_2-CdCl_2溶液のCa/(Ca+Cd)比に対するNaClの影響を調べた。 固相出発物質であるCaTiO_3またはCdTiO_3とそれぞれ2規定のCdCl_2-NaClまたはCaCl_2-NaCl水溶液を金チューブに封入して反応させた。実験には、標準的なテストチューブ型高圧反応容器を用いた。実験条件は1kbにおいて500、600および700℃、0.5kbにおいて600℃とし、4つの条件下で実験を行った。実験終了後、固相と液相を分離し、固相は粉末x線回折装置により、CaTiO_3とCdTiO_3の2相が共存しているか確認するとともにX線マイクロアナライザーを用いて化学組成分析を行った。他方、液相に関してはプラズマ発光分光分析装置を用いて液相中の陽イオン濃度の測定を行った。 実験の結果、CaTiO_3とCdTiO_3は互いにかなりの割合で固溶していることが分かった。1kb、700℃では固溶範囲がかなり広くCaTiO_3とCdTiO_3の2相共存を得ることが難しく、実験を断念した。他の実験条件下では2相共存が得られ、いずれの条件下においても溶液中のNaCl濃度が上昇するに連れてCa/(Ca+Cd)比が減少した。このことは、NaClの増加に伴いCdのトリクロロ錯体が生成していることを示している。これら実験結果を熱力学的に解析し、Cdトリクロロ錯体の生成定数を求めた。その結果、Cdトリクロロ錯体の生成定数の対数値は、500℃、1kbで1.3、1kb、600℃で2.3、0.5kb、600℃で2.9と求められた。
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