1999 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界熱水溶液中における金属の溶存状態に関する研究
Project/Area Number |
09640576
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
内田 悦生 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40185020)
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Keywords | 岩石-水相互作用 / 超臨界熱水溶液 / 玄武岩 / トリクロロ錯体 |
Research Abstract |
今までの研究で得られた超臨界条件下における遷移金属トリクロロ錯体の生成定数に関する成果から、遷移金属は高温・低圧条件下においてトリクロロ錯体を生成し易く、このことから岩石と熱水が反応した場合、高温・低圧ほど遷移金属が熱水中に溶出し易くなり、鉱床生成のポテンシャルが上昇することが推測される。そこで、実際に岩石と水溶液とを反応させ、上記のことが天然に近い条件下で成り立つか確かめるために実験を行った。 実験には固相反応物として地質調査所の標準岩石試料JB-laを用いた。その理由は、JB-laは玄武岩であり、目的である遷移金属を多く含有しているためである。また、反応溶液としては2mol/lのNaCl水溶液を用いた。これは天然の熱水中の成分としてNaClが最も多く含有されているためである。固相出発60mgとNaCl水溶液80μlとを内径4mmの金チューブに封入し、テストチューブ型高圧反応容器を用いて反応させた。温度依存性実験では1kbの条件下で温度を300〜800℃と変化させ、圧力依存性実験では600℃において圧力を0.5kb〜1.0kbと変化させた。反応終了後、液相と固相の化学組成をICPを用いて分析した。 実験の結果、Fe、Mn、Zn、Coの遷移金属は温度上昇・圧力低下に伴い液相中に溶出し易いことが明らかになった。また、実験結果を今までの研究により得られた熱力学的データを用いて解析した結果、これら遷移金属の温度上昇・圧力低下にともなう液相中での増加はトリクロロ錯体の生成が原因であることが分かった。
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Research Products
(1 results)