1999 Fiscal Year Annual Research Report
現世および化石の炭素および炭酸塩中のホウ素同位体の地球化学的挙動
Project/Area Number |
09640580
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野村 雅夫 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (60100997)
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Keywords | ホウ酸 / ホウ素同位体 / 同位体比 / 炭酸塩 / サンゴ / 化石 |
Research Abstract |
沖縄南西諸島の沖永良部島、渡名喜島および宮古島で採取されたサンゴ28試料(今回11試料追加)についてホウ素同位体比の測定を行った。サンゴの種はhelioporaを2種、acroporaを20種、montiporaを2種およびporitesを4種用いた。その約6gの試料からホウ酸メチル蒸留法によりホウ素を単離し、ホウ素同位体比を測定した。また、共存元素をICP発行分光分析法により定量した。その結果、主な共存元素として、Na,K,Li,Mg,Sr,Ba,B等が含まれており、特にNa,K,Mg,Srが多く含まれていた。サンゴの形成時にはその炭酸カルシウムの結晶形はすべてアラゴナイト(A)であるが、炭酸カルシウムの結晶形はカルサイト(C)のほうが安定であるので、マグネシウムの共存により、カルサイトへ変成を受けたものが存在した。このことは、マグネシウム濃度とC/A比の間に正の相関から推測される。ホウ素濃度あるいは同位体比と、その他の化学成分との間には確かな相関性がなかった。ホウ素濃度は20〜50ppmであり、その平均値は40.95ppmで、標準偏差は±7.23ppmであった。ホウ素同位体比は4.107〜4.158(δ^<11>Bにして15.8〜28.3%_0)であり、heliopora種を除いたその他の種26試料中のホウ素同位体比は4.133〜4.158で、その平均値は4.141となった。このときの標準偏差は±0.008であり、非常に狭い範囲のバラツキであった。helioporaとその他のサンゴ種間で共存元素や同位体比などに違いが見られ、heliopora種のサンゴ中のホウ素同位体比はその他4種より低いホウ素同位体比を示した。このことは何らかの生物学的に違った同位体分別の可能性があることを示唆すると考えられる。また、石油からホウ素を抽出するために、まずホウ素の定量分析をICP発光分析計を用いて行ったが予想外に雑音が多く、原油あるいは有機溶媒を用いた直接分析は無理であることがわかった。さらに直接原油からのホウ素蒸留分離も出来なかった。これに関してはホウ素を飛散させずに灰化したのち蒸留分離しなければならないことが分かり、今後更に検討を重ねなければならない。
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Research Products
(1 results)