1999 Fiscal Year Annual Research Report
陸-海洋系における環境試料中の有機分子レベル安定炭素同位体比と地球化学サイクル
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09640583
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Research Institution | TOKYO METOROPOLITAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
奈良岡 浩 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (20198386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石渡 良志 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (90087106)
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Keywords | 炭素同位体比 / バイオマーカー / クチン酸 / リグニンフェノール / C3・C4植物 / 海洋堆積物 / 黄海・東シナ海 / 長鎖脂肪酸 |
Research Abstract |
陸上高等植物に特有なクチクラ層に由来するクチン酸(ω-モノヒドロキシおよびジヒドロキシ脂肪酸など)や維管束植物に存在するリグニンに由来するリグニンフェノール化合物の分子レベル安定炭素同位体比測定法の検討を行った。これらの陸源バイオマーマーカーは植物中で高分子化合物として存在し化学的に難分解性であるため、今回はアルカリケン化法およびアルカリ酸化銅分解法を用いた。クチン酸ではアルカリケン化後メチルエステル化およびBSTFAによるTMS化を行い、リグニンフェノール化合物ではBSAによるTMS化を行い、それぞれガスクロマトグラフ燃焼安定同位体比質量分析計(GC/IRMS)によって測定した。誘導体化の際の炭素付加における同位体比補正を標準有機化合物試薬を用いて検討した後、試料としてC3・C4陸上植物葉や海洋表層堆積物を用いた。 特に、クチン酸の炭素同位体比を黄海・東シナ海表層堆積物6試料について測定したところ、起源としてC3植物が有力であった。ところが炭素数20以上の長鎖飽和モノカルボン酸の炭素同位体比分布は過去数年間の代表者の研究で得られた大平洋・日本海堆積物中のものと同じであった。長鎖飽和モノカルボン酸のC4陸上植物からの寄与を完全には否定できないが、海洋堆積物中の海洋起源の炭素数30くらいまでの長鎖脂肪酸が存在することの可能性が大きい。 これらの結果の一部を日本地球化学会1999年度年会で発表を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Naraoka and R.Ishiwatari: "Carbon isotopic compositions of individual long-chain n-fatty acids andn-alkanes in sediments from river to bay and open ocean."Geochemical Journal. 33. 215-235 (1999)
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[Publications] H.Naraoka and R.Ishiwatari: "Molecular and isotopic abundances of long-chain n-fatty acids in open marine sediments of the western north Pacific"Chemical Geology. 165. 23-36 (2000)
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[Publications] 駒津、奈良岡、石渡: "堆積物中の直鎖および環状脂肪酸の尿素アダクトによる分離を分子レベル炭素同位体比測定への適用"Researhes in Organic Geochemistry. 14. 27-32 (1999)