1998 Fiscal Year Annual Research Report
高精度機器中性子放射化分析による宇宙塵の起源に関する研究
Project/Area Number |
09640584
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
福岡 孝昭 立正大学, 地球環境科学部, 助教授 (90080473)
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Keywords | 宇宙塵 / 機器中性子放射化分析(INAA)法 / 高純度ポリエチレンフィルム / 南極ドームFuji / ガラス質球粒 |
Research Abstract |
本研究は,微小宇宙塵試料の多元素分析に適している機器中性子放射化分析(INAA)を高精度で分析できるように,分析法を確立することを第一にする.第二に起源に関する高精度の議論ができるよう,基礎データを蓄積することにある.今年度は主に次の項目を中心に研究を行った. 1. 微小宇宙塵試料の迅速取り扱い法の開発 目視が困難な直径100μm以下のきわめて小さい宇宙塵試料のINAAでは迅速な取り扱いが必要である.ポリエチレンフィルムの小片(3x3mm)により作製した袋に封入し,目視できる状態で取り扱う方法を考案した.このポリエチレンフィルムが高純度である必要がある.4種類のポリエチレンフィルムの不純物元素含有量を求めたところ,原研により特注されたポリエチレンフィルムが最も高純度で,Al,Ca,Mg,Na等の主成分元素の分析には問題がないことがわかった.しかしCo等の長寿命核種を作る不純物元素濃度が高く,さらに高純度のフィルムが必要であることがわかった. 2. 南極雪中宇宙塵の分析 第37次南極越冬隊によりドームFujiの造水槽底に溜まった沈殿物から回収された.黄〜薄茶色の透明で,球型,液滴型,鉄アレー型をした,ガラス質球粒をINAAした結果,この球粒はSiO2含有量が約40%で,CaとAlを主成分とするきわめて珍しい化学組成であることが判明した.このガラス質球粒と化学組成と形状がきわめて類似したガラス質球粒がハンガリーの2億4千万年前の地層中からも検出されていることがわかった.年代と地域が異なるのに,型状と組成がきわめて類似しているので,大変興味深い問題を提供している.現在このガラス質球粒が宇宙起源であるための証拠を収集中である. なお,平成9年度に購入した微粒物質磁気選別装置は,第38次南極越冬隊によりドームFujiの造水槽底の沈殿物から,宇宙塵を選別するのに使用されている.
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Research Products
(1 results)