1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640587
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
山本 修一 創価大学, 教育学部, 教授 (20182628)
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Keywords | TMAH / 熱分解メチル化法 / 古環境変動 / 環境指標有機化合物 / ODPLeg167 / 堆積物 |
Research Abstract |
本年度は,同時熱分解メチル化法の海洋堆積物試料での生成物の検討,並びに国際深海掘削計画ODP第167次航海で得られたカリフォルニア沖堆積物を用いて,過去3万年間の古環境変動を高分解能で解析するための第一段階を行った。 (1)TMAH法によって,解析できる環境変動の指標化合物の選定を行った。その結果,陸上高等植物起源のものとして,C20-C32脂肪酸,リグニンフェノール(バニリル類,シリンジル類,シンナミル類),クチン酸(3種),β-シトステロールなどが,また海洋起源のものとしてC12-C18脂肪酸,コレステロール,ブラシカステロールなどが,さらに海洋の生産量の変動を知るために有用と考えられるフィトールや今回新たに見いだされたバクテリア起源と考えられるメチルシクロヘキシルペンタデカノール(2種)及びメチルシクロヘキシルヘプタデカノール(2種)が検出された。 (2)堆積物試料のこれまでの主な解析結果は,以下の通りである。 (1)脂肪酸量(海起源および陸起源)の変動は,概ね有機炭素量の変動と類似している。 (2)リグニン類/海起源脂肪酸の比は,温暖化とともに減少傾向が見られた。したがって,氷期に陸起源有機物の供給が多かったことを示唆している。 (3)リグニン類のうち,バニリン類は温暖化するとともに概ね減少傾向を示し,シリンジル類は反対に増加傾向を示した。このことは,陸からの供給として,氷期には裸子植物が優勢で,温暖化とともに被子植物が優勢になってきたことを示唆している。 (4)クロロフィルに由来するフィトールおよびバクテリア起源と考えられるメチルシクロヘキシルペンタデカノール及びメチルシクロヘキシルヘプタデカノールは,有機炭素量が高いところで明らかなピークを示し,生産量を反映していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 吉川博康、石渡良志、山本修一: "TMAH法による琵琶湖堆積物中の有機物の解析" 第15回有機地球化学シンポジウム講演要旨集. 11- (1997)
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[Publications] 山本修一、吉川博康、石渡良志: "熱分解メチル化法による海洋堆積物(ODPLeg167,Site1017)中有機物の解析" 1997年度日本地球化学会年会講演要旨集. 172- (1997)
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[Publications] 吉川博康、山本修一、松本公平、石渡良志: "カリフォルニア沖堆積物(ODPLeg167,Site1017)中の陸起源有機物:熱分解メチル化法による解析" 1997年度日本地球化学会年会講演要旨集. 54- (1997)