1997 Fiscal Year Annual Research Report
シアノ基架橋多次元骨格金属錯体ホストの構造とゲスト分子の動的挙動に関する基礎研究
Project/Area Number |
09640596
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
錦織 紳一 東京大学, 大学院・総合文化研究所, 助教授 (70134400)
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Keywords | 分子運動 / 包接化合物 / ホスト・ゲスト化合物 / シアノ錯体 / 固体NMR / X線回折 |
Research Abstract |
研究対象として、結晶構造と包接機能を検討の結果、[N(CH_3)_4][Cd_3(CN)_7]、Cd(CN)_2、[N(CH_3)_4][CdCu(CN)_4]、Cd(NH_3)_2Ni(CN)_4、Cd(en)Ni(CN)_4、Cd(py)_2{Ag(CN)_2}_2等のホストを選定した。それらについて、ゲストと組み合わせて包接体の合成を行い、^2H-HMR,^<13>C-CP/MAS NMR,^<113>Cd-CP/MAS NMRの測定を行った。現時点で、以下のような定性的な知見が得られている。 [N(CH_3)_4][Cd_3(CN)_7]、Cb(CN)_2、[N(CH_3)_4][CdCu(CN)_4]では、rigidなホスト内にいろいろなタイプのゲストが包接されるので、一定の環境下での、それぞれのゲストの個性を発揮した動的挙動が観測されている。例えば、[N(CH_3)_4][Cd_3(CN)_7]ホストではゲストとして芳香族誘導体を用いたが、側鎖のないゲストでは芳香環の面内回転運動が主体であるが、側鎖のあるゲストでは第一に芳香環の面外方向の運動が支配的で、第二に面内の再配向運動が付随して起こる。Cd(NH_3)_2Ni(CN)_4アニリン包接体においてはゲスト運動の温度依存性が観測されているが、それはゲストのdisorder状態を含めたホスト構造変化の温度依存性を強く反映したものである。これは非極性のゲストであるベンゼンを包接した時とはまったく異なる現象であり、極性ゲストを包接した効果がきわめて顕著に現れた一例と考えられる。また、Cd(NH_3)_2Ni(CN)_4ホストにおいては、他の極性ゲストであるピロールでも試みているが、アニリンとも、ベンゼンとも異なる動的挙動を持つことが観測されている。 来年度以降、NMRの詳細な定量的解析を行うと同時に、X線回析法からのデータの集積をはかり、総合的な解釈を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)