1999 Fiscal Year Annual Research Report
シアノ基架橋多次元骨格金属錯体ホストの構造とゲスト分子の動的挙動に関する基礎研究
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09640596
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
錦織 紳一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70134400)
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Keywords | 分子運動 / 包接化合物 / ホスト・ゲスト化合物 / シアノ錯体 / 固体NMR / X線回折 / 相転移 |
Research Abstract |
本研究は、固体NMRとX線回折より包接体のゲスト運動性とホスト構造との相関をまとめることを目的とし、今年度は、固体NMRの測定とそのデータ解析をおこなった。以下に、その内容と成果を示す。 1.同一構造キャビティ内における種々のゲストの動的挙動を探る目的で、ホストに[N(CH_3)_4][Cd_3(CN)_7]を、ゲストにベンゼン、トルエン、エチルベンゼンを用いた。今年度は昨年度測定した^2H-NMR粉末パターンの解析を行った。結果、それぞれの包接体について、ゲスト分子構造およびキャビティ構造によく対応したゲストの運動モードと、包接体の脱ゲスト過程における、各ゲストの運動モードの変化と運動振幅の増大の様子について明らかとなった。包接体の分解過程のこのような情報は珍しい。また、部分的、単純な分子運動モードの提示と、その組み合わせによる複雑な分子運動モデルの構築法についても提示した。 2.[S(CH_3)_3][Cd_3(CN)_7]・p-キシレン包接体においてゲスト分子運動モードの変化とホスト構造の変化が共同して起こる相転移を見出し、^2H-NMR粉末パターンの解析より割り出したサイト間のポテンシャルの差を相転移の秩序パラメーターとして提示した。 3.極性をもつゲストの動的挙動の研究として、Cd(NH_3)_2Ni(CN)_4、Cd(en)Ni(CN)_4ホストとピロール・ゲストのなす包接体を取り上げ、極性がないベンゼン・ゲストの場合と比較検討した。その結果、極性の効果として、ピロール・ゲストは自由度の高い運動状態にありながら配向が保たれていること、またホスト・ゲスト間相互作用の共同的効果と考えられる両者が連動した運動モードの変化を伴う相転移が見出された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S. Nishikiori: "Out-of-Plane Motion of the Guest Benzene Molecule Trapped in a [Cd(dmen)_2(CN)]_2[Cd(CN)_4] Host as Studied by ^2H-NMR"J. lnclusion Phenom.. 34. 331-343 (1999)
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[Publications] S. Nishikiori: "Guest Molecular Motion of[N(CH_3)_4][Cd_3(CN)_7]Benzene, Toluene and Ethylbenzene Clathrates as Studied by _2H-NMR"J. Phys. Chem., A. (印刷中). (2000)