1998 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能偏光ドップラー分光法による状態選別微分散乱断面積の測定
Project/Area Number |
09640600
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤村 陽 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (00222266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶本 興亜 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (30029483)
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Keywords | 酸素原子 / 亜酸化窒素分子 / 炭化水素分子 / 水分子 / 反応動力学 / 微分散乱断面積 / ドップラー分光 |
Research Abstract |
気相素反応のダイナミックスを明らかにする上で生成分子の振動回転状態分布と散乱角度分布は最も基本的な情報である。これまでは実験的な困難から、主にどちらか一方の分布測定によって反応のダイナミックスが議論されてきたが、そのような不完全な状態選別実験に基づいた議論は大いに誤っている可能性が、近年の理論計算などから予測されている。こうした観点から、本研究では高分解能偏光ドップラー分光法を用いて、O(@@S11@@E1D)原子と幾つかの分子の反応について生成分子の状態選別をした散乱角度分布を測定した。 N@@S22@@E2Oと反応分子をフローさせ、193nm光によるN@@S22@@E2Oの光分解でO(@@S11@@E1D)を生成した。反応の生成分子は適当な遅延時間ののち高分解能波長可変色素レーザー光で検出し、そのドップラースペクトルの線形の解析から、重心系でO(@@S11@@E1D)原子が跳んで来た方向に対する生成分子の散乱角度分布を得た。その結果、(1)O(@@S11@@E1D)+N@@S22@@E2Oでは、生成するNO分子が広い振動回転準位に分布し、長寿命の反応中間体が存在しない系であるにもかかわらず、エネルギー分配が中間状態の自由度の間で効率良く分配されていること、(2)O(@@S11@@E1D)+C@@S22@@E2H@@S24@@E2,C@@S22@@E2H@@S26@@E2では、中間状態での異性化の有無に応じた中間状態の構造変化の情報が、生成したOHの回転角運動量の異方性に反映していること、(3)O(@@S11@@E1D)+H@@S22@@E2Oでは、散乱角度分布が等方的であることから、HOOH型の中間体を経由することが明らかになった。こうした知見は、従来の研究では全く得ることのできなかったものや、正反対の議論が行なわれていたものである。本研究で対象にしたのは反応は、いずれも基本的な気相素反応であり、こうした知見は気相素反応研究の基本的理解に大きく資するものである。 本補助金によって、光学素子、試料、レーザー色素など実験に必要な消耗品を不足なく購入することができた。
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[Publications] Hiroshi Akagi: "Vibrational distribution of highly vibrationally excited NO(X^2II)generated from the reaction of O(^1D)with N_2O" Journal of The Chemical Society Faraday Transaction. 98・11. 1575-1581 (1998)
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[Publications] Hiroshi Tsurumaki: "Stereodynamics of the reactions of O(^1D)with C_2H_4 and C_2H_6" Chemical Physics Letters. 301・1,2. 145-152 (1999)
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[Publications] Hiroshi Tsurumaki: "Stereodynamics of the vibrational channel O(^1D)+H_2O→OH(v'=2)+OH" The Journal of Chemical Physics. 110・16(in press). (1999)
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[Publications] Hiroshi Akagi: "Nascent state distributions of NO(X^2II)generated from the reaction of S(^1D)with N_2O:Intermolecular vibrational-energy redistribution(IVR)in the reaction intermediate" The Journal of Chemical Physics. 110・16(in press). (1999)