1997 Fiscal Year Annual Research Report
溶液化学反応における動的溶媒効果の高圧法による研究
Project/Area Number |
09640602
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原 公彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (80025436)
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Keywords | 分子内電荷移動 / 時間分解蛍光スペクトル / 動的溶媒効果 / 動的ストークスシフト / 蛍光スペクトル |
Research Abstract |
大幅な分子内回転を伴う異性化反応を対象として、動的な溶媒効果を調べることを目的としている。我々はこれまでに、分子内電荷移動を伴う異性化反応に対する動的溶媒効果について、高圧法の研究から、溶媒座標を考慮した励起状態での二次元のポテンシャルエネルギー表面上での、反応経路のシフトとして理解できることを見い出した。本研究では、溶媒和の効果と動的溶媒効果を、より明確に分離し、このような"Pressure Tuning Effect"を普遍的な現象として確認することが目的である。 I.一連のアルコール溶媒中で、4-(N,N-ジメチルアミノ)トリフェニルフォスフィン(DMATP)の励起状態での"ねじれ電荷移動(TICT)状態の生成について、1)蛍光量子収量と2)時間分解蛍光スペクトルの測定を行い、圧力の関数として決定した。 1)定常光による蛍光スペクトルの測定:この化合物は、極性溶媒中で、長波長側にCT状の幅の広い特徴的な蛍光バンドが観測される。TICT状態のLE状態に対する蛍光量子収量の比(Φ_<TICT>/Φ_<LE>)を一連の直鎖アルコール溶媒で測定した。さらに、圧力の関数として測定した。この結果についてΦ_<TICT>/Φ_<LE>を溶媒粘度の関数として考察した。 2)ピコ秒パルス光による時間分解蛍光スペクトルの測定:測定は、Ti-sapphireレーザーの倍波あるいは三倍波を励起光源とした、時間相関光量子係数(TCSPC)法(fwhm:〜30ps)を用いた。これらの測定からTICT状態生成の平均の速度定数(<k_<TICT>>)が決定した。<k_<TICT>>を溶媒粘度の関数として表現した。さらにまた、溶媒の縦緩和時間(τ_L)との比較による考察を行った。 II.アルコールの溶媒緩和時時間を見積もるために、クマリン153をプローブ分子として、高圧下での動的ストークスシフトの測定を行った。その結果、縦緩和時間の長時間成分との良い一致を見い出した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Hara, N.Ito, O.Kajimoto: "High-Pressure Studies of Dynamic Solvent Effects on Large Amplitude Isomerization:2-(2-Propenyl)anthracene" Journal of Physical Chemistry,A. 101,12. 2240-2244 (1997)
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[Publications] N.Kometani, O.Kajimoto, K.Hara: "Pressure Tuning on Solvent Relaxation Time for the Excited Intramolecular Charge-Transfer Kinetics in 4-(N,N-Dimethylamino)triphenylphosphine in Alcohol" Journal of Physical Chemistry,A. 101,27. 4916-4921 (1997)
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[Publications] K.Hara, D.S.Bulgarevich, O.Kajimoto: "High-Pressure Piooseoond Time-Resolved Fluoresoence Studies on the Excited Intramolecular Charge-Transfer Kinetics of 4-(9-Anthrylmethyl)-N,N-Dimethylaniline in Alcohol" Berichte der Bunsengeselschaft,Physical Chemistry. 101,10. 1443-1451 (1997)
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[Publications] K.Hara: "Excited Intramolecular Charge-Transfer and High Pressure Tuning" Trends in Chemical Physics(in press).