1997 Fiscal Year Annual Research Report
アミノシランのAmphiphilicな特性を生かした反応性の開発
Project/Area Number |
09640630
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
萩原 久大 新潟大学, 自然科学研究科, 教授 (20006331)
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Keywords | アミノシラン / ダンデム型反応 / 1、4-付加反応 / アルドール反応 / マイケル-アルキル化反応 / ジエチルアミノトリメチルシラン / 1、4-付加-アルキル化反応 |
Research Abstract |
アミノシラン系化合物の半経験的分子軌道法計算を行い、ケイ素原子とチッ素原子との間の荷電の分離が通常の有機ケイ素化合物の場合より大きい事を見出した。この事からアミノシラン系化合物のケイ素原子はルイス酸部として、チッ素原子はルイス塩基部として、他の有機ケイ素化合物よりAmphiphilic(両性的な)な性質を持っていると考えた。この様な考え方に基づき、アミノシラン系化合物のケイ素原子とチッ素原子との共同作用による新しい反応の開発が期待された。以下、通常は非常に困難なアルデヒドの求核反応を主題に、ジエチルアミノトリメチルシランを用いた新しい反応の開発を行なった。 1)アルデヒドのビニルケトンへの1、4-付加反応 室温、無溶媒でアルデヒドが直接ビニルケトンへと1、4-付加し、5-ケトアルデヒドを与える新しい反応を見出した。生成した5-ケトアルデヒド類はシクロヘキセノン誘導体の重要な合成原料であり、これまではアルデヒド等価体のビニルケトンへの1、4-付加反応により段階的に合成されていた化合物である。従来法でアルデヒド等価体のシリルエノールエーテル、エナミン、アリルアミンを使わざるを得なかったのは、アルデヒドのエノラート、あるいはエノールエーテルを直接発生させる事が出来ないためである。 2)アルデヒドのα-ブロモアクリル酸エステルへのダンデム型反応 近年、一旦発生させた反応活性種を連続的に用い、多段階の炭素-炭素結合形成反応を1potで行なわせるタンデム型反応に注目が集まっている。アルデヒドとα-ブロモアクリル酸エステルとを反応させると、1、4-付加反応後生成したフォルミルエステルがさらに分子内求核置換反応を行ない、三員環エステルを与える反応を見出した。 アルデヒドのアルドール反応 アルデヒドが分子間でアルドール反応、続いて脱水反応を行ない、一挙にα、β-不飽和アルデヒドを与える反応を見出した。この時、E-異性体のみが選択的に得られた。また、ジアルデヒドの分子内反応を検討したところ、環状アルドール体、あるいは環状α、β-不飽和アルデヒド体の得られる事が分かった。
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