1997 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性[2.2]パラシクロファンビスホスフィン-遷移金属錯体触媒の開発
Project/Area Number |
09640639
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮原 雄治 九州大学, 理学部, 助手 (40037263)
|
Keywords | シクロファン / ホスフィン配位子 / 遷移金属錯体 |
Research Abstract |
本年度の目標はビスジフェニルホスフィノ[2.2]パラシクロファンの合成の最適ルートの決定であり、当初の合成計画に従いメタクレゾールを出発物質とし通常分子間で行われている1,6-ホフマン脱離による[2.2]パラシクロファン合成法を分子内で行わせ新しい選択合成を目指した.中間体の合成は極めて効率的な方法が開発できたが、環化反応では予期に反し反応条件の制御が困難で低収率に留まり、最初に[2.2]シクロファン系を形成してから目的の配位子に導く方法をとらざるを得なくなった. このとき選択的に擬オルト位置に置換基を導入する事が難しくその条件各種検討を行っているとき、アメリカ化学会誌に本研究の目的としている配位子としその錯体が高機能触媒として働くという速報が出された.即ち先を越されてしまったが、本研究の目的とする触媒がやはり予想通りの高性能を持っていることが証明された事になる.しかし彼らの方法の弱点はやはりその合成法にあり、低収率の分離困難な出発原料を使用して強引に合成しており彼等もその問題点を認めている。触媒とは言っても量を確保できなければやはり応用に大きな制限を受ける為、本年度の科学研究補助金で購入したパーソナルスーパーコンピュータにより[2.2]パラシクロファンの反応性の分子計算をもとにして、現在進めている選択的臭素化の条件の検討進めることにより目的のビスジフェニルフォスフィノシクロファンの大量合成さらには触媒としての応用には不可欠な基礎研究として重要であると考えられ来年度も引き続き行っていく予定である. また本研究の目標である光学活性触媒とするための光学分割法の検討を大環状トレーガ-塩基研究の中で行い報告した。
|