1998 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性[2.2]パラシクロファンビスフィン-遷移金属錯体触媒の開発
Project/Area Number |
09640639
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宮原 雄治 九州大学, 理学部, 助手 (40037263)
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Keywords | シクロファン / ホスフィン配位子 / 遷移金属錯体 |
Research Abstract |
本研究の本来目的としたビスジフェニルホスフィノ[2.2]パラシクロファンが実際高性能の触媒として働くことが米国メルク社のチームにより証明されてしまったが、直接開発者のVolante博士に確かめたところやはり原料のジブロモ[2.2]バラシクロファンの合成がネックとなっていて実用化の障害になっているとのことで、その効率的な合成が急務であることに変わりはない。そこで本年は[2.2]パラシクロファンの直接臭素化の条件を検討した。通常の鉄やヨウ素を触媒として臭素化すると臭素を1個から4個まで含み多種類の位置異性体を含む複雑な生成物を与えるが、臭素ガスと[2.2]パラシクロファンの気固反応が不完全ながら偽オルト選択性が見られるとの報告がある。今回文献の条件の改良を試み目的の偽オルト置換ジブロモパラシクロファンの分離精製を行い、NMRやGC-MSスペクトルにより構造を確認することができた。この臭素化反応の最適化のためには分子軌道法による反応解析が有効と考えられが、そのためには生成物のX線結晶解析による構造が正しく計算で再現できるかが重要なポイントとなる。各種溶媒からの再結晶をくり返しているがまだ結晶解析に十分な結晶を得るには至っていない。また最近気相-固相臭素化反応の新しい装置を開発したが、残念ながら研究期間中には十分なデータを集めるには至らなかった。今後も本研究の完成を目指す所存である。 本課題の基礎研究として、同様な目的に供せられるシクロファン型配位子としてトレーガー塩基由来のC2対称配位子を合成しその光学分割に成功した。配位元素がリンではなく窒素ではあるが遷移金属のニッケル、パラジウムなどの塩類との錯体が得られており新しい配位子として報告した。
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