1997 Fiscal Year Annual Research Report
芳香環面不斉を利用した立体選択的不斉ピナコール反応;光学活性1、2-ジヘテロ化合物の合成
Project/Area Number |
09640643
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
植村 元一 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (90047241)
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Keywords | アレーンクロム錯体 / 面不斉 / ヨ-化サマリウム / ピナコールカップリング / 1、2-ジオール / 1、2-ジアミン |
Research Abstract |
カルボニル基をもつ化合物をランタノイドや遷移金属で一電子還元すれば、対応するピナコール化合物を与えることはよく知られている。しかし、通常、この反応ではピナコール体のdl(threo)及びmeso(erythro)体の選択性は乏しく、かつdl体を光学活性体として合成することは不可能である。本研究では、本来、光学異性体が存在しない芳香族化合物に6族の遷移金属を配位させ、芳香環面に由来する不斉に着目しピナコールカップリング反応で、1、2-ジヘテロ化合物を光学活性体として合成できる反応の開発を行った。オルト置換ベンズアルデヒドのクロムトリカルボニル錯体をヨ-化サマリウムで一電子還元を行うと、threo体及びerythro体には各々3つの立体異性体が存在できるが,ピナコールカップリング生成物としてのthreo体及びerythro体をそれぞれ単一の化合物しか生成しなかった。threo体は同一の面不斉を有するアレーンクロム錯体がカップリングしたものであり、他方erythro体は異なる面不斉を持つもの同士がカップリングしたもである。そこで、出発原料としてオルト置換ベンズアルデヒドのクロムトリカルボニル錯体を光学活性体として用いると、ピナコールカップリング生成物は単一のthreo体のみが光学活性体として得られた。 更に、本反応を延長して光学活性オルト置換ベンズアルドイミンのクロム錯体を、ヨ-化サマリウムで一電子還元すると光学活性1、2-ジアミンを選択的に得ることができた。これらの反応は、ピナコールカップリングで1,2-ジオール、1、2-ジアミン体を効率よく合成できる反応で有機合成上、価値のあるものである。 つぎに、上記の反応で反応中間体として考えられる、クロムトリカルボニル基に安定化されたケチルラジカルをα,β-不飽和エステルと反応させ、立体選択的にγ-ラクトン誘導体を光学活性体として得ることもできた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] N.Taniguchi,M.Uemura: "Synthesis of Enantiomerically pure 1,2-Diamines by Reductive Coupling of Tricarbonyl (benzaldimine) chromium Complexes" Synlete. 51-53 (1997)
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[Publications] N.Taniguchi,M.Uemura: "(Arene) tricarbonyl chromium Complexes in Radical Reactions : Samarium (II) Iodide-Mediatid Cross-Coupling of Chromium-Complexed Benzaldehyde or Acetophenone" Tetrahedron Letters. 38. 7199-7202 (1997)